研究課題
紫外線の照射を受けた皮膚では、CD4陽性Fopx3陽性制御性T細胞(regulatory T cell, Treg)の数および通常型Foxp3陰性T細胞(conventional T cell, Tconv)との比率が顕著に増加する。本研究課題では、紫外線照射によって皮膚で増加する制御性T細胞(UVB-skin Treg)の機能解析を行い、それらがプロエンケファリンやアンフィレグリンなどを産生してケラチノサイトの増殖および運動を促進し、皮膚の創傷治癒を促進する機能を持つことを明らかにしてきた。本年度は、創傷治癒の促進機能や免疫抑制能を有するUVB-skin Tregが、紫外線照射の後にどのようなメカニズムで選択的に増加するのか検討した。増加のメカニズムには、樹状細胞が関与する可能性が強く示唆された。皮膚にはランゲルハンス細胞、CD11b陽性樹状細胞、CD103陽性樹状細胞など様々な樹状細胞サブセットが存在する。紫外線照射後の皮膚では、照射後速やかにCD11b陽性樹状細胞サブセットの活性化と成熟化が起こり、それらはex vivoでの共培養によって制御性T細胞を増加させた。CD11b陽性樹状細胞サブセットの網羅的遺伝子発現解析データを用い、他の樹状細胞サブセットとの比較によって、紫外線照射で活性化したCD11b陽性樹状細胞サブセットに特異的に発現する遺伝子の探索を行った。それによって見出された候補分子のin vivo、ex vivoでの阻害実験の結果から、UVB-skin Tregの増殖や活性化に関わる複数の候補分子を同定することができた。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
PLOS Pathogens
巻: 17 ページ: e1010085
10.1371/journal.ppat.1010085