研究課題/領域番号 |
19K07528
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
木村 大輔 神戸女子大学, 健康福祉学部, 教授 (50423637)
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研究分担者 |
由井 克之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90274638)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マラリア / 免疫記憶 / T細胞 / IL-27 / アポトーシス / CD4+T細胞 |
研究実績の概要 |
マラリア原虫感染により宿主免疫応答が抑制されることはよく知られているものの、その機序についてはあまり理解されていない。我々は、本原虫感染マウスにおいて抑制因子IL-27を産生する新規抑制性CD4陽性T細胞Tr27が誘導されることを明らかにしてきた。さらに、IL-27依存的にCD4陽性細胞の細胞死が誘導される予備的実験結果を得た。このことから、IL-27がマラリア原虫感染時における免疫記憶が維持されにくい原因であると仮説を立てた。これまでに、IL-27依存的な細胞死は抗原特異的であることを、抗原特異的応答をモニター出来る系(OT-IIあるいはPbT-IIマウス)を用いて明らかにした。その後は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、長崎大学での実験が中断したままである。 マラリア原虫は赤血球を破壊しながら増殖するため、溶血性貧血を引き起こす。溶血時に血中に放出される赤血球成分の中には、ATPなど免疫細胞に影響する成分が含まれており、これら成分がTr27を誘導するとの仮説を立て、マウスに薬品(フェニルヒドラジン)投与による溶血性貧血を引き起こしたところ、CD4陽性細胞の抗原特異的応答は著しく低下した。また、溶血性貧血を起こしたマウスの血清をin vitroでCD4陽性細胞の培養に添加したところ、量依存的にIL-2産生を抑制することを確認した。今後は成分の特定およびTr27の誘導がされているのかについて解析するとともに、長崎大学での実験についても再開する準備をすすめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年と同様、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、長崎大学での実験が中断したままであるため、本研究課題の期間延長を申請した。 しかしながら、異なる方法を用いて解析を検討中であり、これまでに上記結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症のために中断していた長崎大学での実験について、再開する準備をすすめるとともに、赤血球の溶血による免疫抑制についての解析を行う。特に成分の特定およびTr27の誘導がされているのかについて明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
長崎大学で実施する予定であった実験を全てキャンセルし、次年度まで期間延長したたため。それに伴う旅費等の予算を翌年に使用するため。
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