研究課題/領域番号 |
19K07529
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
長田 良雄 産業医科大学, 医学部, 教授 (80282515)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 寄生虫 / 免疫修飾 / 関節炎 / 住血吸虫 / 旋毛虫 / Th2 / Th17 |
研究実績の概要 |
1. マンソン住血吸虫(Sm)や旋毛虫(Ts)の感染はいずれもマウスコラーゲン関節炎(CIA)において抗コラーゲン抗体の産生を抑制するが、その関節炎抑制効果に対する寄与は明らかでない。今年度は両寄生虫の感染マウスの経時的採血を行い、関節炎重症度と抗体価の相関について解析した。両寄生虫ともCIAの足肢腫脹を有意に抑制したが、Tsではその効果が後期(8-9週)では消失した。非感染群においては、発症初期(5-7週)では関節炎重症度と抗コラーゲンIgG抗体価の相関は強かったが、後期(8-9週)では低下した。これに対しSm感染群では、両者の相関は実験期間を通じて高い傾向がみられた。対照的にTs感染群では抑制効果のみられる初期には非感染群よりも相関係数が低かった。Smでは感染によりIL-17などの炎症性サイトカインの産生を抑制することが分かっており、その結果として残存する足肢腫脹と抗体価の相関度が高くなっている可能性が推察された。一方Tsでは炎症性サイトカイン産生抑制効果はあまりないことが以前の研究で判明しており、それを考えあわせると主に抗体産生が抑制されることにより関節炎が抑制された結果として相関度が低くなっていると考えられた。
2.SmとTsについて関節炎抑制作用における好酸球の関与を検討するため、IL-5KOマウスで感染およびCIA発症実験を行った。IL-5KOマウスではSmによるCIA抑制作用は消失したが、TsによるCIA抑制作用は野生型マウスと変わらなかった。このことから、Tsとは異なり、Smの関節炎抑制作用における好酸球の関与の可能性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KOマウスの戻し交配と繁殖に時間がかかり、実験の開始が遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
当初使用予定だった肝蛭については、関節炎抑制効果の再現性が不十分であったので使用を断念した。住血吸虫による関節炎抑制において好酸球の必要性が考えられたので、次年度はこの点に絞って研究を進める。IL-33KOマウスとSTAT6KOマウスを用いて、好酸球の誘導および関節炎抑制におけるILC2およびTh2の関与について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の若干の遅れのため延長を申請した。 試薬消耗品としては、主に実験動物(寄生虫を維持するためのマウスおよびKOマウス実験における野生型対照マウス)や細胞精製用キット・ELISAキット・培養液の購入に使用する。その他、学会や研究会への参加(旅費、参加費)、論文の英文校正などに支出する予定である。
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