研究課題
アピコンプレキサ特異的なN-ミリストイル化修飾をうけるPfRab5bの結合蛋白としてこれまでPfArf1とPfRab1b GTPaseの解析を行った。結合タンパク質にはSec7ドメインを含むタンパクPF3D7_1442900も同定されている。他種生物でSec7はArf1 GTPaseのguanine nucleotide exchange factor グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)と機能をもち、GDP型のArf1をGTP型へと活性化する働きがある。ヒトにはSec7ドメインはタンパク質は複数ゲノムに存在するが、マラリアのSec7はゲノムに1つしか存在せず、ヒトSec7よりも倍の400kDaの大きさを持つ。 PF3D7_1442900は中央にSec7 ドメイン、N末にARMドメイン(Armadillo repeat)、C末はマラリア種間で保存した配列が存在した。マラリアのSec7の機能を解析するために、Plasmodium berghei Sec7 にC末端側にmCherryを融合させたPbSec7-mcherryを発現させる原虫株をsingle crossover法で作成した。赤内期ではmCherryのシグナルは核周辺のドット状構造を示し、 赤内期の進行とともにシグナルのドットの数は多くなった。赤内期の原虫ライセートを還元状態のNuPAGEゲルで泳動を行い、抗mCherry抗体でウエスタンブロットを行うと、400kDaのサイズのバンドが得られ、全長のPbSec7-mCherryが発現していることが分かった。また、非還元状態のBN-PAGEゲルで泳動すると、800kDaのサイズのバンドが得られ、細胞内でPbSec7は二量体を形成、あるいは他のタンパク質と相互作用していることが示された。PbSec7がPfArf1と相互作用していることを確認するために、PbSec7-mCherry とPfArf1-mAGを同時に発現する二重発現株を作成したところ、両者のシグナルは核近傍で一致した。よって、ミリストイル化Rab5bの結合タンパク質Sec7とArf1は、核近傍で輸送調節を行っていることが考えられた。
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