研究課題
本年度は、昨年度、ヒト由来不死化正常肝臓細胞を用いて、細胞致死に至る過程で変化する細胞内の microRNA (miRNA)、mRNA の変化を解析して得られた情報を元に、miRNAとmRNA の統合解析を行った。この解析結果を、RT-qPCR を行い、マイクロアレイ解析の結果の確認を行った。KEGG 解析の結果から、Cholix 特異的変化のある経路として、MAPK経路、代謝経路、Th17細胞の分化、サイトカイン受容体相互採用、cAMP経路など見出された。しかし、病原性発症に至る直接的な、miRNA/RNA の発見には至っていない。エキソソームの阻害剤である GW4869 や Altenusin は、Cholix の細胞死を阻害した。このことからも、エキソソームが細胞死に関与していると示唆されるが、本阻害剤は、スフィンゴミエリナーゼの阻害剤でもあることから、Cholix によって細胞内に、細胞傷害性のあるセラミドの蓄積が関与しているか解析した。この経路に関して、現在詳細に解析を進めている。また、CrisperCAS9 KO ライブラリーをヒト由来不死化正常肝臓細胞に遺伝子導入し、Cholix に耐性致死の細胞を樹立した(共同研究;感染研)。この耐性致死細胞中の遺伝子を解析し、耐性致死に必須な細胞内蛋白質の同定、解析を行った。細胞致死、傷害機構に関与する新規候補蛋白質の詳細な解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調に来ている。昨年は、Cholixと相互作用するPHB を同定する事ができ、論文として報告した。本年は、マイクロアレイ解析 (miRNA, mRNA)解析を行い、Cholix 特異的に変化遺伝子を同定した。また、CrisperCAS9 KO ライブラリーから致死耐性細胞を樹立した。
エキソソームの阻害剤に加え、エキソソームに関与するRab27a,Alix等の蛋白質の発現抑制細胞を使用し、本当にエキソソームが細胞致死、傷害性に関与するか調べていく。アレイ解析の結果から、miRNAの制御するmRNAを同定し、その細胞傷害機構に於ける役割を解明する。また、エキソソームを回収し、内包されているmiRNA,蛋白質の解析を引き続き行う。CrisperCAS9 KO ライブラリーから樹立した致死耐性細胞を詳細に調べて、マイクロアレイの結果と比較しながら、Cholix による細胞致死、傷害機構に関与する新規因子を同定する。
注文した試薬類の国内在庫がなく、発注後時間がかかったため。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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