研究課題/領域番号 |
19K07579
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
長嶋 茂雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (60433116)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | E型肝炎ウイルス / 感染感受性 / 許容性 / 感染初期過程 / 細胞内侵入 / 細胞間伝播 |
研究実績の概要 |
E型肝炎ウイルス (HEV) は胆汁中や糞便中のウイルス粒子の物理化学的性状からノンエンベロープウイルスに分類されているが、血液中や培養上清中に放出されたHEV粒子は細胞由来の脂質膜に覆われている。これらの形態の異なるHEV粒子は共に培養細胞への感染性を有しているが、HEVに感受性を示す細胞の許容性(細胞内環境)については明らかとなっていない。本研究によりHEVの増殖に必須な宿主因子とその機能が明らかとなれば、今後の抗HEV薬の開発戦略の構築に資することが期待される。 これまでに、粒子形態の異なる2種類のHEVの増殖にはタイトジャンクションの形成に関与する蛋白質Aが必要であることが明らかとなっている。そこで、CRISPR/Cas9システムを利用して、タイトジャンクション蛋白質Aをノックアウトした細胞を作製した。この細胞に膜に覆われたHEVと膜に覆われていないHEVを接種したところ、両者において増殖が認められなかった。蛋白質Aノックアウト細胞を用いてHEVの細胞内侵入および細胞間伝播への影響を解析した結果、蛋白質Aは膜に覆われたHEVの細胞内侵入に必要であることが示された。一方で、タイトジャンクション蛋白質Aは、HEVの細胞間伝播に関与していることが明らかとなった。HEV感染細胞内には、膜に覆われたHEV粒子が多胞体内に、膜に覆われていないHEV粒子が細胞質内に存在している。本研究では、ORF3欠失変異体を用いることにより、膜に覆われていないHEVが細胞間伝播に関与していることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、HEV感染の許容性を規定する宿主因子の同定と増殖過程における機能について解析を行った。その結果、タイトジャンクション蛋白質Aが、膜に覆われたHEVの細胞内への侵入過程、膜に覆われていないHEVの細胞間伝播に重要であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、膜に覆われたHEVの受容体候補蛋白質を発現していない細胞に、候補蛋白質を発現させた安定発現細胞を作製する予定である。これらの細胞を用いて、HEVの吸着、細胞内侵入、増殖能を解析し、感染感受性が付与されるか否かを調べる。 また、予備検討として行った受容体候補蛋白質をノックダウンした細胞の中で、粒子形態に関わらずHEVの増殖が阻害される細胞が見出された。これらの蛋白質は受容体としてではなく、HEVの感染初期過程に関与することが示唆されている。そこで、これらの蛋白質をノックアウトした細胞を作製し、HEV増殖(吸着、侵入、複製)における生物学的意義を調べる。これにより、これらの宿主因子が両HEV粒子の感染許容性に関与するか否かを明らかにする。
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