研究課題/領域番号 |
19K07585
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
西村 順裕 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (00392316)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ウイルス / 受容体 / 手足口病 / エンテロウイルス71 / 中枢神経 / 神経細胞 / ヘパラン硫酸 |
研究実績の概要 |
ウイルスは細胞表面で受容体に結合して感染を開始する。この受容体を同定・解明することは、ウイルス感染環の理解において非常に重要である。ピコルナウイルス科に属するエンテロウイルス71やコクサッキーウイルスA16は手足口病の原因ウイルスである。手足口病の病状は一般に軽く予後は良好であるが、エンテロウイルス71感染の際は急性脳炎や弛緩性麻痺などの重篤な中枢神経疾患を伴うことがある。エンテロウイルス71の感染メカニズムには未だ不明な点が多い。2009年にエンテロウイルス71受容体としてP-selectin glycoprotein ligand-1とscavenger receptor class B member 2が同定されたことによりこれら以外の未知受容体の存在が示唆された。その後、エンテロウイルス71がヘパラン硫酸に結合することが報告されたが、有力な新規受容体は同定されていない。本研究では、神経細胞に特異的に発現するエンテロウイルス71受容体が存在するという仮定のもと、その受容体の同定と機能解析を目的とする。3年計画の第1年目は、中枢神経系由来の細胞株を中心に様々な細胞株を入手し、既知のエンテロウイルス71受容体の発現パターンを解析した。特にヘパラン硫酸に着目し、フローサイトメトリーで発現を検出した。ヘパラン硫酸発現は解析した全ての細胞株にみられた。これらの細胞株ではヘパラン硫酸がエンテロウイルス71の感染初期に関与することが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
未知受容体の同定に向け1年目に計画していた実験が計画通りに進行しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
神経細胞株におけるエンテロウイルス71感染機構の解明においては、ヘパラン硫酸の関与をいかに捉えるかが重要と思われる。ヘパラン硫酸発現をノックアウトした神経細胞株の樹立とその細胞を用いたエンテロウイルス71の感染性解析を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:年度末納品等にかかる支払いが令和2年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定である。また、米国の会社が製造・販売する抗体の米国内在庫が切れ、年度内での製造・出荷および納品が不可能となったため。 使用計画:抗体が製造され次第購入し、実験に使用する予定である。
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