研究課題/領域番号 |
19K07587
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
津田 祥美 長崎大学, 感染症共同研究拠点, 准教授 (70447051)
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研究分担者 |
森松 組子 (吉松組子) 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (90220722)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ウイルス / 病原性 |
研究実績の概要 |
本課題ではエボラウイルスの主要標的細胞とされているマクロファージや肝細胞でのウイルス増殖がエボラウイルス感染症で観察される病態にどのように関与しているのか、ウイルスの組織指向性や主要標的細胞での増殖能力と致死的病態の関連性を明らかにすることを目的とする。これまでの解析によりマクロファージや樹状細胞でのウイルス増殖を抑制した組換えエボラウイルスを作出し、マウスモデルを用いた感染実験を実施したところ、マクロファージや樹状細胞でのウイルス増殖を抑制した組換えエボラウイルスは著しく病原性が減弱したことから、感染初期におけるマクロファージや樹状細胞でのウイルス増殖の重要性を示した。本課題では、まず肝臓で発現することが報告されているmicroRNA122をまずターゲットとして選び、microRNA122に対応する遺伝子配列を組み込んだ組換えウイルスの作出を試みた。本年度は作出したウイルスの確認、培養細胞での増殖性の比較やマウスモデルを用いた病原性の解析を行う予定であったが、コロナウイルス流行の対策等によりこれらの実験の実施が困難であった。そこで細胞におけるmicroRNAの発現量の確認について引き続き検討するとともに、肝臓や他の臓器でのサイトカイン応答について検討するために、マクロファージや樹状細胞でのウイルス増殖を抑制した組換えエボラウイルスを用いた感染実験で得られた試料を用いて追加解析を試みた。これまでに臓器および血中サイトカイン応答について検討したが、加えて血液細胞によるサイトカイン誘導と比較することとし、現在解析を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、コロナウイルス感染症の世界的流行により渡米しての実験が不可能であったことなどにより、ウイルスを用いた実験ができず、実験が計画通り実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに作出したウイルスのin vitroでの増殖を確認するなど性状解析を行う。これまでに作出した組換えウイルスの増殖能力、免疫応答などを比較検討する。また、マウス体内におけるmicroRNAの発現分布をフローサイトメトリーやqRT-PCR法等により確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の世界的流行による渡航規制や、米国BSL-4施設でも海外からの研究者の受け入れ制限などの影響により、予定していた渡米してのBSL4施設を使用した実験ができなかったことに加えて、学会や打ち合わせ等もオンライン開催などにより、出張がなかったため、予定していた経費を全て使用しなかったことから次年度使用額が生じた。 次年度以降、遅れている実験の推進と論文投稿、出張旅費などに使用していく予定である。
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