我が国では新型インフルエンザ発生に備えて、抗インフルエンザ薬ファビピラビル(アビガン錠)が備蓄されている。既存の抗インフルエンザ薬とは作用機序が異なり、発症後48時間経過した感染者や薬物耐性ウイルスにも効果があるとされる。しかし、必要量がオセルタミビルよりも約70 倍多く、胎児の催奇形性が懸念されるなど問題があった。本研究で提案したプロドラッグ化によって、非感染細胞への薬剤取り込みが抑制されれば、有効薬物濃度の増大と副作用の軽減が期待できる。また、インフルエンザウイルスに限らず、ノイラミニダーゼ活性をもつ他の病原性微生物の治療にも役立つことも期待される。
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