研究課題/領域番号 |
19K07592
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小川 寛人 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80455237)
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研究分担者 |
山田 雅夫 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40166731) [辞退]
藤倉 大輔 北里大学, 獣医学部, 准教授 (70547794)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒトヘルペスウイルス6B / 細胞侵入 / ウイルス感染メカニズム / レセプター |
研究実績の概要 |
小児の突発性発疹の原因ウイルスであるヒトヘルヘルペスウイルス6B (HHV-6B) は、T細胞表面に発現しているCD134 (OX40、TNFRSF4) を細胞侵入受容体(レセプター)として感染する。近年では、HHV-6Bが原因となる疾患として、臓器移植後のウイルス再活性化による脳症や肺炎、肝障害、薬剤性過敏症症候群なども問題視されており、小児科学分野だけでなく多くの臨床分野でも注目されている。我々の研究では、突発性発疹回復期にウイルスDNAが唾液で多量に検出されたため、この時期の唾液で感染源となるものと考えられる(Miyazaki et al. 2017. J Med Virol.)。しかしながら、唾液からT細胞までのウイルス感染動態やT細胞以外の臓器で病態が認められる点など、既報の感染メカニズムでは説明が難しい事象もみられている。単純ヘルペススウイルスをはじめとするいくつかのウイルスでは、細胞に侵入するために必要なウイルス糖蛋白質(リガンド)や細胞表面の受容体(レセプター)が複数認められているため、本研究では、HHV-6B感染でも複数の細胞表面分子がレセプターとして作用すると仮定し、新規細胞侵入レセプターの探索を行った。 2021年度は、HHV-6B感染に関与する新規細胞分子スクリーニングにより得られた候補分子の中から、nectin-2に着目してウイルス感染に関与するか否かを解析した。これまでにHHV-6Bに対する感受性が認められていない細胞(CCRF-HSB-2細胞)にnectin-2を過剰発現させてウイルスを感染させたところ感染が認められた。nectin-2遺伝子をノックアウトした唾液腺由来細胞(HSY細胞)では、ウイルス感染の抑制が認められた。また、共免疫沈降では、HHV-6BのGlycoprotein B(gB)とnectin-2が相互作用したため、nectin-2を介したウイルス感染機構ではgBが関与する可能性が示唆された。
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