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2020 年度 実施状況報告書

HIV構造蛋白質Gagの機能制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K07594
研究機関横浜市立大学

研究代表者

宮川 敬  横浜市立大学, 医学部, 講師 (20580046)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードウイルス-宿主相互作用
研究実績の概要

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の骨格タンパク質Gagは細胞侵入過程から子孫ウイルス形成過程に至る各ステップにおいて重要な役割を果たすことが知られており、したがって宿主による Gag制御機構を詳細に紐解くことによって次世代標的薬のデザインが可能となる。本研究では、複雑なGagの挙動を反映した独自の生細胞アッセイ系を用い、Gagを機能不全に導く宿主因子を探索し、宿主によるウイルス機能制御機構の解明を目指す。今年度までに生細胞内における蛋白質-蛋白質間相互作用を検出可能なBRET技術を駆使し、約800種の宿主タンパク質についてGagとの結合活性を調べた。その結果、複数種のタンパク質がGagと結合しうることがわかった。さらにHIV分子クローンを用いた検証によりGagの機能不全を誘導し、結果としてHIV粒子産生を阻害する宿主因子を同定した。また本因子は主にT細胞に発現しており、Gagの特定のドメインに結合することで細胞内分解を導く機能を有することがわかった。Gagは本来、細胞膜に輸送されるとそのまま留まる性質をもつが、タイムラプスイメージング解析の結果、本因子を過剰発現した細胞では、Gagは細胞膜に輸送された直後に細胞内に取り込まれ、そのまま細胞内小胞に蓄積してしまうことがわかった。したがって本因子はGagの細胞膜局在の不安定化を引き起こす因子であると考えられる。現在その詳しい作用機序について、T細胞等を用いて解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画とおり、Gag結合因子スクリーニングが概ね完了し、2年度目までにHIV粒子産生を阻害する宿主因子を複数種同定できたため。

今後の研究の推進方策

すでに候補となるHIV粒子産生阻害因子は複数種同定でき、一定の機能解析も終了した。しかしその過程から、ウイルス側がこの因子を回避するメカニズムの存在が示唆されている。そこで今後はGag以外のHIVタンパク質、とくにアクセサリータンパク質が、この因子を不活化するメカニズムについて解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Cleavage of TANK-Binding Kinase 1 by HIV-1 Protease Triggers Viral Innate Immune Evasion.2021

    • 著者名/発表者名
      Jeremiah SS, Miyakawa K, Matsunaga S, Nishi M, Kudoh A, Takaoka A, Sawasaki T, Ryo A.
    • 雑誌名

      Front Microbiol.

      巻: 12 ページ: 643407

    • DOI

      10.3389/fmicb.2021.643407

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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