研究課題/領域番号 |
19K07602
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
古田 俊介 千葉大学, 医学部附属病院, 特任講師 (10422221)
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研究分担者 |
中島 裕史 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00322024)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ANCA関連血管炎 / TLR9 |
研究実績の概要 |
近年、ANCA関連血管炎(AAV)の病態形成におけるB細胞の重要性が示唆され、その後の複数の臨床試験によりB細胞を標的とした治療がAAVに有効であることが証明された。本申請研究では、propylthiouracil(PTU)/phorbol myristate acetate(PMA)-treated NETs-induced AAV(PTU-NETs AAV)、及びanti-MPO-IgG-induced AVV (anti-MPO AAV)をマウスに誘導し、B細胞におけるToll like receptor 9(TLR9)やその下流分子であるNuclear factor kappa B (NF-kB)などの、AAV発症における役割を明らかにすることを目的としている。 これまでマウス好中球を用いてPMA誘導性のnetosisを解析している。マウスの腹腔にカゼインを注射した後、腹腔内洗浄液を回収したところ90%以上の好中球 採取に成功している。採取されたマウス好中球を200ng/mL PMAを用いて刺激し、ギムザ染色によりnetosisを評価したところ、60%程度の好中球においてnetosisが誘導された。今後はPTU-NETs AAVやanti-MPO AAVの解析を行う予定である。次に本申請研究者は、TNFスーパーファミリーであるBAFF(B cell activating factor) およびAPRIL (a proliferation-inducing ligand)がAAV患者の治療中に上昇するという報告に着目し、AAV患者の治療開始時、治療開始2ヶ月後の血清中のBAFFおよびAPRILを定量したところ、治療前の血清でBAFFおよびAPRILが上昇していることを見出した。今後はBAFFのnetosisにおける影響について解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験計画では、propylthiouracil(PTU)/phorbol myristate acetate(PMA)-treated NETs-induced AAV(PTU-NETs AAV)、及びanti-MPO-IgG-induced AVV (anti-MPO AAV)をマウスに誘導し、B細胞におけるToll like receptor 9(TLR9)やその下流分子であるNuclear factor kappa B (NF-kB)などの、AAV発症における 役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、AAVにおいて、B細胞内NF-kBを活性化しうるTLR9刺激因子以外の液性因子について検討した。本申請研究者は、TNFスーパーファミリーであるBAFF(B cell activating factor) およびAPRIL (a proliferation-inducing ligand)がAAV患者の治療中に上昇するという報告(Brkic et al.、Ann Rheum Dis, 2013)に着目し、治療前、治療2ヶ月後のAAV患者血清中のBAFFとAPRILを定量したところ、治療前の血清でBAFFおよびAPRILが上昇していることを見出した。BAFFは従来のNF-kB classical pathwayではなく、NF-kB alternative pathwayを活性化することが知られているため、今後はBAFF- NF-kB alternative pathway のnetosisに対する影響について解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスを用いた解析について、これまでマウス好中球の分離とphorbol myristate acetate(PMA)刺激によるnetosisの誘導に成功している。今後は、ギムザ染色と抗シトルリン化ヒストンH2抗 体を用いたFACS解析によりnetosisの程度を定量評価し、高頻度にnetosisを誘導するPMAの至適濃度を決定する予定し、PMAの至適濃度が決定後、PMAにより netosisを来した好中球をアジュバントとともにマウスに注射し、ANCA関連血管炎(AAV)様の病態をマウスに惹起させる予定である。 また、AAV患者血清を用いた解析によりBAFFがAAVの病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆されたため、今後はBAFF- BAFF- NF-kB alternative pathway のnetosisに対する影響について解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な試薬、マウス等の一部を研究室の他プロジェクトとの共用として購入できたため、次年度使用額が生じた。 今年度は研究室内の他プロジェクトとの共有部分は少なくなるものと予想される。また、AAVの病態形成やnetosis形成におけるBAFFの役割を解析する必要があるため、その解析にも次年度使用額分を使用したい。
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