研究課題/領域番号 |
19K07604
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原 崇裕 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (90512301)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 骨髄 / ストローマ細胞 / 微小環境 |
研究実績の概要 |
自然免疫を担当する免疫細胞には様々な種類(自然リンパ球、NK細胞、NKT細胞、γδT細胞など)があり、これらの自然免疫細胞は、感染免疫応答・抗腫瘍免疫・炎症性疾患などの病態において重要な役割を果たしている。しかしながら、種々の自然免疫細胞の分化・維持・応答を支える骨髄微小環境(ニッチ)に多様性があるかどうか明らかではない。本研究では、ニッチを構成する骨髄ストローマ細胞がその種類によって異なる自然免疫細胞を支持しており、骨髄微小環境が機能的・解剖学的に小分画に分かれるかどうかを検証する。また、各々のニッチ小区画(compartment)を構成する骨髄ストローマ細胞が、正常時および病態時に果たす機能(維持・リザーバー・感染による動員)を包括的に調べることを目的とする。本研究には、「骨髄微小環境の機能的小区画化」という新規の概念を提示し、病態との関係性を明らかにする点に学術的な意義がある。本年度に実施した実験結果から、自然免疫細胞のニッチにおいて誘引・繋留に関与する複数の分子(細胞接着分子やインテグリンなど)を特定することが出来た。また、これらの分子の機能を薬剤で阻害したときに、骨髄内における自然免疫細胞の挙動に変化が起こることが明らかとなった。また、自然免疫細胞のニッチ小区画(compartment)を構成するストローマ細胞を、フローサイトメトリー法によって亜集団として分類できる細胞表面マーカーの探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に計画していた、自然免疫細胞のニッチにおいて誘引・繋留に関与する複数の分子(細胞接着分子やインテグリンなど)の解析は、ほぼ予定通りに実施することが出来た。また、自然免疫細胞のニッチ小区画を構成するストローマ細胞を、亜集団として細分類できる細胞表面マーカーの探索も予定通りに進んでおり、区画化された骨髄微小環境の性状が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
自然免疫細胞の誘引・繋留に関与する分子を阻害したときに起こる末梢への影響を調べる。また、自然免疫細胞が関与する病態モデルマウスの解析を通して、骨髄ニッチ小区画の医学的重要性を解明する研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 今年度の実験用に購入予定であった試薬のうち、幾つかは既存のものを効率的に使用することによって、余剰金が生じた。 (使用計画) 翌年度分として請求した助成金と合わせて、直接経費の殆どは消耗品購入に充てる。フローサイトメーターでの細胞集団解析や切片染色実験に多種類の抗体が必要である。
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