研究課題/領域番号 |
19K07616
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究部) |
研究代表者 |
大矢 佳寛 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究部), その他部局等, 室長 (60507218)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 免疫 / リンパ球 / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
自己免疫疾患は、自己の抗原に対する免疫応答の異常な活性化状態であると考えられている。近年の免疫学の発展は、種々の免疫抑制剤を生み出し、自己免疫疾患に対する治療法にも多くの選択肢をもたらした。しかし、これらの状況においてもなお残る副作用は、意図しない免疫応答の抑制である。感染症の発症や発癌のリスクは現行治療薬の抱える不可避の問題であり、いまだ解決に至っていない。本研究者は抗原特異性についての解析を通して、目的としない免疫応答へは影響を与えずに、目的とする免疫応答のみを抑制する方法を見出した。従来の免疫抑制剤を用いた治療は、標的とする抗原のみならず非特異的に免疫応答を抑制する。そのため、易感染性をもたらし、抗がん免疫能も低下する結果、発がんのリスクが上昇する。従って、臨床現場では、易感染性のリスクを最小限にし、目的の免疫応答だけをコントロールするための慎重な用量調整、試行錯誤が必須となる。そこで本研究では、抗原特異的な免疫抑制療法を確立すべく、抗原特異的なリンパ球を作成し、標的とする免疫応答のみを抑制する新たな治療法を確立することを目的とする。マウス由来リンパ球から任意の抗原に特異的なリンパ球が作成可能か否かを解析した。結果、それぞれのリンパ球は相互に特有の受容体発現を示しており、非特異的なリンパ球とは相互に異なる応答性を保持していることが示唆された。しかし、抗原特異性について詳細な検討を行ったところ、産生した抗原特異的な細胞集団には、一部抗原非特異的な成分も含まれている可能性が示唆された。そこで、さらに限定的な特異性を有するリンパ球集団を作成する手法について試行しているところである。さらに、Foxp3発現細胞割合の改善を図るための工夫を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗原特異性について詳細な検討を行ったところ、産生した抗原特異的な細胞集団には、一部抗原非特異的な成分も含まれている可能性が示唆された。そこで、さらに限定的な特異性を有するリンパ球集団を作成する手法について試行しているところである。さらに、Foxp3発現細胞割合の改善を図るための工夫を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
産生した抗原特異的な細胞集団には、一部抗原非特異的な成分も含まれている可能性が示唆された。そこで、さらに限定的な特異性を有するリンパ球集団を作成する手法を確立する。ヒト細胞においても、抗原特異的な細胞を作成し抑制作用について検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究途中で新たに手法を作成する必要が発生したため、費用を確保するため他の研究費と按分したため次年度使用額が発生した。 按分した額と併せて研究期間内に使用できるよう引き続き事務員との調整を続ける。
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