研究課題
固形がんに対する次世代型CAR-T細胞を用いた治療法の開発のため、これまでにがん抗原であるmesothelinに対する「従来型」のCAR-TとIL-7とCCL-19を産生する「7x19」CAR-Tを作製し検討したところ、mesothelinを発現する悪性中皮腫のマウスモデルやヒト膵がん腫瘍を用いたPDXモデルの両方において、「7x19」CAR-T細胞は「従来型」CAR-T細胞に比較し生存期間の延長を認めより強力な薬効評価を示した。最終年度では「従来型」および「7x19」CAR-T細胞の早期投与による腫瘍増殖予防効果を比較検討したところ、「従来型」CAR-T投与マウスは最終的に腫瘍の増殖を認めたものの、「7x19」CAR-T投与マウスはいずれも100日以上観察し腫瘍増殖を認めなかった。また、「従来型」および「7x19」CAR-T治療マウスの腫瘍局所における機能評価を行ったところ、「7x19」CAR-T治療マウスにおいて、腫瘍局所のCAR-Tおよびnon CAR-Tいずれの細胞も「従来型」CAR-T治療マウスと比較し優位に増加しており、「7x19」CAR-TがCAR-Tだけでなくnon CAR-Tの増殖や腫瘍への浸潤を通じて抗腫瘍活性を高めていることが明らかになった。さらに、ヒト膵がんPDXモデルにおいて腫瘍を拒絶したマウスにmesothelin陽性腫瘍を接種したところ、mesothelin陰性腫瘍に比べて優位な腫瘍増殖抑制効果を認め、この現象は通常のナイーブマウスでは認めなかったことから、これらのマウスはmesothelin陽性腫瘍に対するメモリー抗腫瘍反応を有していることが示唆された。
すべて 2021
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Cancer Immunology, Immunotherapy
巻: 70 ページ: 2503~2515
10.1007/s00262-021-02853-3