研究課題/領域番号 |
19K07638
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
堀部 智久 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (20467468)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 癌 / 分子シャペロン / 発光イメージング |
研究実績の概要 |
本研究では、近年その機能的役割に関して注目されているマイクログリア細胞において、悪性脳腫瘍であるグリオブラストーマ(GBM)細胞とマイクログリア細胞との相互作用に基づくがん微小環境中における、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)関連タンパク質の一つであるP5の機能的役割の解明を行い、GBMの微小環境中においてP5を標的とすることの有用性および新たな抗癌標的療法の可能性を提示することを目的としている。 令和2年度は、主に下記の研究内容を行った。 (1) 分泌型IL-6の生物発光による検出のためのレポーターベクターの構築; 生物発光を用いた分泌型IL-6の検出を行うためにH31/令和元年度で構築したレポーターアッセイ用ベクターのIL-6プロモーター領域の下流にIL-6および、NanoLucルシフェラーゼを融合したcDNAをつないだ発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターをヒトマイクログリア細胞株(HMC3)に一過性でトランスフェクションを行った後、培養上清中のIL-6をELISAを用いて検出すると共にluminometerによるレポーターアッセイを行い、分泌されたIL-6がNanoLuc融合タンパク質であることを確認した。 (2) P5ノックダウンによるIL-6産生への影響; (1)で構築された発現ベクターをHMC3に一過性でトランスフェクションを行い、LPSおよび悪性脳腫瘍細胞株(U251)の培養上清から精製された細胞外ベシクル(EVs)の添加によるIL-6の産生への影響を調べた。LPSおよびEVs添加により上昇したIL-6の産生量は、P5のノックダウンにより影響を受けることが確認された。 (3) P5ノックダウンによる悪性脳腫瘍細胞からの細胞外ベシクル(EVs)産生への影響; CD63-NanoLuc安定発現ヒト悪性脳腫瘍細胞株(U251/CD63-NanoLuc)を用いて、siRNAによるP5のノックダウンを行った後、悪性脳腫瘍細胞株から産生されるEVsをレポーターアッセイにより測定を行い、P5のノックダウンによる影響を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度に予定していた生物発光を用いたIL-6検出のための発現ベクターの構築および、マイクログリア細胞へのトランスフェクション後のアッセイにおいても検出が可能であること、また、P5のノックダウンによる影響を確認できているため、ここまで概ね順調に進行していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
構築された発現ベクターの安定発現細胞株の樹立および、マイクログリア細胞と悪性脳腫瘍細胞株の共培養下でのP5の人為的制御時におけるサイトカインの産生への影響を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由; 令和2年度に予定していたsiRNA、ベクター構築のための各種キット類、生物発光検出用試薬および、細胞培養に必要な各種消耗品などが、当初の想定よりもおさえることができたため。 使用計画; 令和3年度の研究費の使用としては、主に次の項目で使用予定である。 生物発光を用いた一細胞レベルでの発光イメージング手法に必要な試薬類および、消耗品、ゼブラフィッシュなど小型魚類飼育のための保守費用(飼育設備含む)、細胞培養関連および、維持管理に必要な消耗品(培地、血清、プラスチック類など)。
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