腎がんの発症、悪性化に至る分子メカニズムは不明のままである。そこで腎臓の異常に関わるタンパク質を探索してCDCP1を同定した。CDCP1は近位尿細管に発現しており、代償性肥大の促進に関わること、その過程にはSTAT3-MMP経路の活性化による細胞増殖と細胞外環境の再編成が重要であることを明らかにした。がん細胞の解析では、CDCP1はがん細胞の発生に関わること、STAT3-MMP経路を介した集団的浸潤に関与することを明らかにした。以上の結果から、CDCP1は腎臓の効率的な修復を促すが、過剰に発現した場合にはがん発生や悪性化にも関与することを分子レベルで明らかにした。
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