研究課題
Mint3 KOマウスを用いた実験から、宿主Mint3により肺特異的に乳がんの化学療法誘導性転移が促進されることが明らかとなった。また、Mint3阻害剤を投与することにより、Mint3 KOマウスと同様に、野生型マウスでも化学療法誘導性転移が抑制された。マクロファージにおけるMint3が転移ニッチ形成に関わることが先行研究で明らかになっていることから、化学療法誘導性転移にもマクロファージが関わるかについて、マクロファージ特異的Mitn3 KOマウスを作製して解析を行った。その結果、マクロファージにおけるMint3が化学療法誘導性転移を促進していることが明らかとなった。次に、抗がん剤投与後の肺のトランスクリプトーム解析を行った結果、抗がん剤を投与した野生型マウスの肺で特異的に誘導される分子Xを同定した。分子Xの中和抗体投与により、野生型マウスでMint3 KOマウスと同程度に化学療法誘導性転移が抑制された。この分子Xの肺における発現細胞を免疫染色で解析したところ、分子Xはマクロファージではなく、肺胞II型上皮細胞に発現していた。これらの結果からマクロファージにおけるMint3が肺胞II型上皮細胞に分子Xの発現を誘導することで、化学療法誘導性転移が促進される、というモデルが考えられた。そこで、肺胞II型上皮細胞とマクロファージの共培養実験で、肺胞II型上皮細胞に分子Xの発現が誘導されないか、in vitroでの実験系の構築に着手した。
4: 遅れている
研究期間での2度の異動による遺伝子改変マウスの導入に時間がかかり、さらにコロナ禍による動物実験の抑制があり、遺伝子改変マウスを用いた実験が大幅に遅れた。
1年間の研究期間の延長を行ったので、引き続き野生型マウスを用いた実験や細胞株を用いたin vitroの実験で取得可能なデータを中心に取得し、遺伝子改変マウスを用いた実験が軌道に乗った段階で集中的に実験を行い研究を完遂する。
大学の異動とコロナ禍での動物実験の抑制のため、今年度計画していた動物実験が行えなかった。研究計画を次年度に延長し動物実験を行い、本研究を完遂するために残額を使用する計画である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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