研究課題
Mint3 KOマウスを用いた実験から、宿主Mint3により肺特異的に乳がんの化学療法誘導性転移が促進されることが明らかとなった。また、Mint3阻害剤を投与することにより、Mint3 KOマウスと同様に、野生型マウスでも化学療法誘導性転移が抑制された。がん細胞の特異性についても検討を加えた結果、乳がん以外にもメラノーマ、肺がん細胞株でも同様の結果が得られたことから、宿主Mint3による化学療法誘導性転移促進はがん種を問わないメカニズムであることが明らかとなった。マクロファージにおけるMint3が転移ニッチ形成に関わることが先行研究で明らかになっていることから、マクロファージ特異的Mitn3 KOマウスを作製して化学療法誘導性転移の解析を行った。その結果、マクロファージにおけるMint3が化学療法誘導性転移を促進していることが明らかとなった。次に、抗がん剤投与後の肺のトランスクリプトーム解析を行った結果、抗がん剤を投与した野生型マウスの肺で特異的に誘導される分子Xを同定した。分子Xの中和抗体投与により、野生型マウスでMint3 KOマウスと同程度に化学療法誘導性転移が抑制された。また、分子Xのがん細胞側の受容体を検討し、受容体をゲノム編集で欠損させたがん細胞では化学療法誘導性転移が起こらないことが明らかとなった。この分子Xの肺における発現細胞を免疫染色で解析したところ、分子Xはマクロファージではなく、肺胞II型上皮細胞に発現していた。これらの結果からマクロファージにおけるMint3が肺胞II型上皮細胞に分子Xの発現を誘導することで、化学療法誘導性転移が促進される、というモデルが考えられた。また、X発現の誘導には化学療法により障害された正常細胞からのDAMPs、または化学療法により正常細胞に誘導された老化細胞からのSASPが関与する可能性が示唆された。
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