日本において胃がんは部位別がん死亡者数第3位であり、その98%がピロリ菌感染によるものである。ピロリ菌CagA誘発胃がんにおいてPAR1b多量体とそのキナーゼ活性の抑制は中心的な役割を占める。本研究によりPAR1b多量体化とキナーゼ活性賦活化の分子メカニズムが詳細に解明されたことから、今後ピロリ菌を原因とする胃がんを含めた胃粘膜病変の発症機構が大いに進展する考えられる。また、PAR1bはアルツハイマー病の原因タンパク質であるタウのキナーゼでもあることから、胃粘膜病変のみならず、アルツハイマー病を含めたタウオパチーの解明にもインパクトを与えると考えられる。
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