研究課題/領域番号 |
19K07661
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
新城 恵子 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (40641618)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | EZH2 / 複合体 |
研究実績の概要 |
ヒストンメチル化酵素EZH2 (enhancer of zeste homolog 2) はPRC2(ポリコーム複合体2)の構成タンパク質であり、多くのがんで発現が高い。近年EZH2阻害薬は臨床応用されているが、一方でEZH2酵素活性阻害薬は、EZH2が過剰発現した腫瘍のすべてで有効ではないことも明らかとなってきている。EZH2はがんにおいてPRC2とは異なる複合体を形成することが知られており、アンドロゲンレセプター、STAT3、NF-κBと複合体を形成し、悪性化に寄与することが報告されている。我々はこれまでにEZH2が過剰発現している複数の腫瘍細胞において、EZH2はヒストン修飾酵素X(protein X)と複合体を形成していることを見出した。この新規EZH2複合体は通常の複合体とは異なる新たな機能を獲得し、悪性化に寄与している可能性がある。これまでに脳腫瘍 (GBM)、乳がん (Breast ca.)、前立腺がん、肺がんなど複数のがん種の細胞株を用いて、この異常複合体が存在することを確認した。EZH2は核内に多く局在するが、EZH2-protein X異常複合体も核内で認めることが免疫沈降から明らかとなった。複合体の存在はProximity ligation assay(PLA)でも確認を試みた。複数の細胞でPLA反応を行ったところ、複合体を示すPLAのスポットはがん細胞で多い傾向があった。この結合はFRETでも確認した。今後はクロマチン免疫沈降を行い、この複合体による標的遺伝子部位を同定することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
EZH2とprotein Xの新規標的を見出すために、過剰発現系を作成した。しかし、この場合は過剰発現という異常な状況を反映してしまう恐れがある。そこで、内因性遺伝子にTagタンパク質を発現させることにした。系を作成するのに時間を必要としている。
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今後の研究の推進方策 |
EZH2とprotein Xの新規標的を見出すために、内因性遺伝子にTagタンパク質を発現させる細胞を作成し、その細胞を利用してChIP-seqを行い新規複合体の標的を同定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進行が遅く、CHIP-seqができなかったため。次年度に使用を予定している。
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