研究課題
基盤研究(C)
治療後半年以内に致死的な再発を引き起こす膠芽腫において、グリオーマ幹細胞(Glioma stem cell, GSC)は周囲環境への依存性が低く、生存、増殖に有利な成分を分泌することで自らニッチを形成する。しかし、そのような自律性ニッチの特性は十分に解明されていない。本研究では自律性ニッチの成立過程の可視化に成功し、そのニッチが腫瘍塊の周辺のみならず、離れた正常脳にも形成されることを明らかにした。また、低分子阻害剤スクリーニングより自律性ニッチの破綻を誘導する薬剤を複数同定した。
腫瘍生物学
難治性腫瘍である膠芽腫において、その再発を防ぐ新しい治療戦略の確立が急務である。グリオーマ幹細胞が自ら形成するニッチの成立機構の解明、制御因子及び候補阻害剤の同定は膠芽腫再発機構に関する生物学的理解に貢献し、ニッチを破壊することで膠芽腫の根治につながると期待できる。