大腸癌(CRC)の腫瘍微小環境において、可溶性ST2(sST2)はインターロイキン(IL)-33の炎症性機能を抑制することにより、腫瘍抑制的に作用する。本研究では、腫瘍の悪性化に密接に関連する低酸素環境下では、CRC細胞におけるsST2発現が低酸素誘導因子(HIF)-核内IL-33-GATA3軸を介して顕著に低下することを明らかにした。また、CRC腫瘍組織中の低酸素領域限定的にsST2発現を回復させることで、炎症性腫瘍環境が改善し、腫瘍の増殖・転移が効果的に抑制されることを示した。我々の知見は、低酸素腫瘍領域を特異的に標的としたsST2増強が、悪性CRCの治療に有用である可能性を示唆する。
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