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2022 年度 実績報告書

腫瘍の臓器向性転移における血管の役割とその分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K07674
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

小林 美穂  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50630539)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード細胞外小胞 / TGF-β / EndoMT/EndMT
研究実績の概要

本研究は、がん細胞が血管内皮細胞を操るツールとして、がん細胞を含む多くの細胞が分泌する細胞外小胞(EVs)と呼ばれる直径100 nm程度の粒子に注目した。EVsにはRNAなどの核酸や様々なタンパク質が内包されており、近くの細胞や遠くの細胞とEVsをやり取りすることで、細胞どうしはコミュニケーションを取る。本研究ではまず、TGF-βで刺激してEMTが誘導された口腔がん細胞では、無刺激の口腔がん細胞に比べて3倍ほどEVsの分泌量が増加することを発見した。次に、がん細胞から分泌されるEVsが血管内皮細胞に及ぼす影響を探るために、無刺激の口腔がん細胞由来EVs(Control-EVs)とTGF-β刺激した口腔がん細胞由来EVs(TGF-β-EVs)を用意し、血管内皮細胞で形成した血管内皮シートにそれぞれのEVsを同じ量だけ作用させたところ、どちらのEVs処理においても血管内皮細胞では本来発現していない間葉系細胞マーカーであるSM22αの発現が誘導されており、内皮間葉移行(EndoMT)が引き起こされることが明らかとなった。さらに、EVsは血管内皮細胞どうしの接着を弱め、血管内皮シートに隙間を形成させていた。このような細胞間の隙間は、血管のバリア機能を低下させて不安定化を導くことが知られている。そのため、実際に血管内皮シートの物質透過性を測定した結果、EVsは血管内皮シートの物質透過性を亢進させており、バリア機能の低下を招くことが明らかとなった。興味深いことに、このようなEndoMTや血管不安定化によるバリア機能の低下は、TGF-β-EVsの方が強く誘導することが新たに見出された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 口腔がん細胞由来エクソソームによる内皮不安定化機構2023

    • 著者名/発表者名
      小林 美穂、藤原 花汐、高橋 和樹、吉岡 祐亮、落谷 孝広、井上 カタジナアンナ、渡部 徹郎
    • 雑誌名

      リンパ学

      巻: 46 ページ: 7-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transforming growth factor-β-induced secretion of extracellular vesicles from oral cancer cells evokes endothelial barrier instability via endothelial-mesenchymal transition2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Miho、Fujiwara Kashio、Takahashi Kazuki、Yoshioka Yusuke、Ochiya Takahiro、Podyma-Inoue Katarzyna A.、Watabe Tetsuro
    • 雑誌名

      Inflammation and Regeneration

      巻: 42 ページ: 38

    • DOI

      10.1186/s41232-022-00225-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 口腔扁平上皮がん細胞由来細胞外小胞による血管不安定化機構2022

    • 著者名/発表者名
      小林 美穂、藤原 花汐、高橋 和樹、吉岡 祐亮、落谷 孝広、渡部 徹郎
    • 学会等名
      第87回 口腔病学会学術大会
  • [学会発表] 口腔がん細胞由来エクソソームによる内皮不安定化機構2022

    • 著者名/発表者名
      小林 美穂、藤原 花汐、高橋 和樹、井上 カタジナアンナ、渡部 徹郎
    • 学会等名
      第46回日本リンパ学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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