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2020 年度 実施状況報告書

がん細胞におけるセパレース活性制御異常の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 19K07677
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

進藤 軌久  公益財団法人がん研究会, がん研究所 実験病理部, 研究員 (00512253)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード染色体分配 / セパレース / サイクリンB1 / バイオセンサー / がん
研究実績の概要

本研究では、がん細胞株でみられたセパレース活性制御異常の分子基盤を解明するために、セパレースの厳格な活性制御を保証する機構を解明し、その知見をがん細胞株における異常の理解へと展開する。3つの大枠を設けて研究を推進している。(1)セパレース活性化直前のサイクリンB1結合の活性制御機構における意義の解明。(2)がん細胞株におけるセパレース・サイクリンB1複合体の形成状況の解析。 (3)サイクリンB1結合の異常以外によってセパレース活性制御異常が生じている可能性の探求。当該年度は(2)を完了した。以下、当該年度の実績の概要を記す。

がん細胞株におけるセパレース活性制御異常は、がん細胞の分裂期中期が長いことが原因であることが明らかになった(第79回日本癌学会学術総会、第43回日本分子生物学会年会、Shindo et al., Cell Reports, 2021)。さらに、人為的な分裂期中期の延長によってセパレースとサイクリンB1の結合量を低下することから、がん細胞の長い分裂期中期においてもセパレースとサイクリンB1の結合量が低下していると考えられた。そこで免疫蛍光染色法を応用したProximity Ligation Assay (PLA)法を各種がん細胞株で行ったところ、多くのがん細胞でセパレースとサイクリンB1の結合量が低下していた。さらに、この解析で結合量の低下が著しかった細胞株にサイクリンB1と結合できないセパレースの変異体を導入し、内在性のセパレースをRNAiで除去して完全にセパレース・サイクリンB1結合を消失させたところ、重篤な染色体分配異常が生じて細胞分裂に失敗し、増殖が停止した。分裂期中期の短い正常細胞は比較的この変異体の影響を受けないことから、分裂期中期の長いがん細胞を選択的に増殖停止させることができると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた実験はすべて完了できている。

今後の研究の推進方策

分裂期中期の長いがん細胞で生じるセパレース活性制御異常とそれによる染色体分配異常は、セパレースとサイクリンB1の結合量の低下が原因ということが明らかになったので、今後はサイクリンB1結合の異常以外によってセパレース活性制御異常が生じている可能性を探求していく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Prolonged mitosis causes separase deregulation and chromosome nondisjunction2021

    • 著者名/発表者名
      Shindo Norihisa、Otsuki Makoto、Uchida Kazuhiko S.K.、Hirota Toru
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 34 ページ: 108652~108652

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2020.108652

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Kinetochore stretching-mediated rapid silencing of the spindle-assembly checkpoint required for failsafe chromosome segregation2021

    • 著者名/発表者名
      Uchida Kazuhiko S.K.、Jo Minji、Nagasaka Kota、Takahashi Motoko、Shindo Norihisa、Shibata Katsushi、Tanaka Kozo、Masumoto Hiroshi、Fukagawa Tatsuo、Hirota Toru
    • 雑誌名

      Current Biology

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.cub.2021.01.062

    • 査読あり
  • [学会発表] AIシステムを用いたCOVID-19に対するドラッグリポジショニング研究2021

    • 著者名/発表者名
      進藤 軌久, 豊柴 博義
    • 学会等名
      第94回日本薬理学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] セパレース制御異常が誘導するがん細胞の染色体分配異常2020

    • 著者名/発表者名
      進藤 軌久、広田 亨
    • 学会等名
      第79回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] セパレース活性制御機構と染色体分配の異常について2020

    • 著者名/発表者名
      進藤 軌久、広田 亨
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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