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2020 年度 実施状況報告書

生体内イメージングを用いた多様ながん転移巣形成メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K07685
研究機関東京大学

研究代表者

上田 善文  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (60391877)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードがん / イメージング / in vivo / 2光子顕微鏡 / 転移巣 / 悪性リンパ腫
研究実績の概要

転移巣形成メカニズムの解明は、原発巣から離れた数個のがん細胞の動態を追う必要があるために、一細胞レベルで、がんの動態を観察する必要がある。申請者は、生きたマウスにおいて、一細胞レベルでがん細胞の動態を観察可能な2光子顕微鏡を用いて、大腸粘膜層上皮毛細血管、肝臓、および骨髄などでのがん細胞の動態解明を試みている。
昨年度は、悪性リンパ腫EL4細胞をマウス尾静脈より打ち込み、肝臓に浸潤したEL4細胞の経日変化を追ったところ、EL4細胞が浸潤するに従い、悪性度の指標となる細胞運動の活性化が上昇することを明らかにした(FASEB J. 2020 Mar;34(3):3838-3854.)。今年度は、肝臓に浸潤したEL4細胞が、経日変化によって如何なる挙動を示すかを検証した。浸潤の中期から後期にかけて自己集合し結節を作り始めることを見出した。これらの結節は、一つの細胞が増えて形成されたものではなく、複数のEL4細胞が集まって形成したものであることが明らかになった。この結果は、申請者が過去の報告で明らかにした、EL4細胞の積み重なり効果が肝臓においても起きていることを示している。そこで、EL4細胞が集合するメカニズムを探るために、結節を作っていないEL4細胞群と作っているEL4細胞群の間のmRNAプロファイルを比較した。細胞間接着に関与するタンパク質のmRNAの増加が多数見られた。現在、候補となる接着因子が結節部位において高発現してるかを免疫組織染色によって検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で遂行予定の研究項目は以下のとおりである。
1.肝臓、骨髄でのEL4-EGFPおよびEL4-mCherry細胞の経日変化の観察
2.細胞分裂の影響の検証
3.積み重なり効果を検証する
これらのうち、1および3に関しては、期待通りの結果が出ているため順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

本年度は、単独で存在していたEL4細胞が集合するメカニズムを探るために、結節を作っていないEL4細胞群と作っているEL4細胞群の間のmRNAプロファイルを比較した。多数の細胞間接着因子に関与するmRNAの増加が見られた。今後は、増加が認められたmRNAのうち、どの因子が結節の形成に関与しているかを明らかにする。増加が認められた因子の欠損EL4細胞を作製し、浸潤後期において結節の形成度合が減少するか否かを検証する。期待通りの結果が得られれば、がん細胞の集まりを阻害し、個々のがん細胞にすることによって抗がん剤の効果を増加させるなどの新規抗がん剤戦略として提案することが可能である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が1304円生じたが、特に研究遂行上に支障をきたす金額ではなく、翌年度の研究費700000円と合わせて研究を遂行する。具体的には、生化学実験の消耗品、遺伝子実験の消耗品、マウス購入費、マウス実験、論文投稿料に使用する予定である。仮に、コロナ状況が改善されれば国内および国外の旅費にも使用することを検討する。

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公開日: 2021-12-27  

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