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2020 年度 実施状況報告書

ミトコンドリアDNAの動態制御による新規癌治療戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K07687
研究機関大阪大学

研究代表者

田中 晃司  大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (70621019)

研究分担者 山田 萌  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00781717)
黒川 幸典  大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10470197)
山崎 誠  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50444518)
高橋 剛  大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50452389)
牧野 知紀  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80528620)
松浦 記大  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90804477)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードミトコンドリアDNA / 食道癌
研究実績の概要

食道癌細胞株においてmtDNAコピー数変化によってEMTが誘導されるかを検証した。
ミトコンドリア転写因子A(TFAM)をshRNAでknockdown(KD)し、mtDNAコピー数減少細胞株を樹立した(TE8:約40%、TE11:約60%)。遺伝子発現についてRT-PCR法およびWBを施行すると、TFAM-KD細胞ではE-cadherinの低下、N-cadherin / vimentin / zeb-1の上昇が見られた。さらにMatrigel-invasion assay、Scratch-wound healing assayを行ったところ、TFAM-KD細胞は浸潤能、遊走能が有意に亢進していることを確認した。つぎに、食道癌細胞株で化学療法によってマイトファジーが活性化しているかを確認したところ、WBにおいてPINK-1の発現が亢進していることが分かった。また、その際、ミトコンドリアの膜に存在するTOM20は化学療法の暴露により経時的に減少することを確認した。一方化学療法によって、mtDNAコピー数は、一過性増加ののち、減少することを確認した。また、その際の膜電位の変化を検討したところ、抗がん剤短期暴露では、一過性に膜電位が増加していた。一方抗癌剤の慢性暴露によって膜電位は低下することが分かった。膜電位をCCCPにより人為的に低下させることで、EMTが誘導されることを確認した。また、DNMTの発現増加し、メチル化が増加していることが分かり、核DNAとmtDNAの間にDNMTが重要な役割を果たすこと突き止めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた研究のうち、1.化学療法によるマイトファジー活性化の再検証:マイトファジー制御によるmtDNAコピー数変化の検討、2.mtDNAコピー数減少および増加によるEMT誘導に関する検討:樹立したmtDNAコピー数低下細胞株(shTFAMによる)を用い、EMT関連遺伝子の発現の確認(qPCR,ウェスタンブロット)、遊走能・浸潤能解析(wound healing assay, invasion assay)、治療抵抗性の検証(apoptosis assay, viability assay)は完了し、結果を得ることができた。また、計画研究のうち、mtDNAと核遺伝子の相互作用によるEMT誘導メカニズムの検討として、化学療法時のミトコンドリアの膜電位変化およびDNMTによるメチル化の変化を確認することができており、おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

今後は、mtDNAと核遺伝子の相互作用にかんして、Retrograde signalingに着目し、ミトコンドリアの膜電位変化、Ca2+flux assay、カルシニューリンやHnRNPA2の挙動を検討する。また、断片化mtDNA放出によるcaspase非依存性細胞死の誘導に関する検討を合わせて行っていく方針である。また、DNMT阻害剤と化学療法の併用療法による治療効果検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルスによる緊急事態宣言の発令より、研究停止期間が発生し、研究の進捗状況に遅れが生じたため

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公開日: 2021-12-27  

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