本研究は、プロレニン受容体(以下、(P)RR)安定発現ヒト膵管上皮細胞を用いて、膵管癌の進化パターンを明らかにすることである。継代数6における(P)RR)安定発現ヒト膵管上皮細胞で核形態を評価したところ、癌の悪性度が高くなるほど生じるとされる多核化を認めるとともに、染色体異常も確認した。この結果は、ヒト全ゲノム解析においても支持されたが、継代数6ではKRASやp16といった膵管癌のドライバー遺伝子の変異は認められなかった。一方で、継代数20における(P)RR安定発現ヒト膵管上皮細胞では、KRAS, P16遺伝子の変異が認められ、染色体構造変異の存在が膵管癌の悪性化に寄与する可能性を示唆した。
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