• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

AhRおよびそのリガンドによるがんの免疫逃避機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K07697
研究機関東洋大学

研究代表者

椎崎 一宏  東洋大学, 生命科学部, 教授 (20391112)

研究分担者 生田 統悟  埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (00262072)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードAhR / AhRリガンド / IDO / キヌレニン / RAG-2 / 胎児免疫寛容
研究実績の概要

AhR欠損マウス(AhR KO)における盲腸発がんに対する免疫系の関与を調べるため、成熟B細胞およびT細胞を欠損するマウス(Rag2 KO)との交配を行い、ダブルノックアウトマウスを作成した。結果としてAhR/Rag2ダブルノックアウトマウスにおいては現在のところ30週齢まで盲腸発がんが認められていない。このことはAhR KOマウス盲腸において発がんの原因となる慢性的な炎症に対して、自然免疫ではなく獲得免疫が関与していることを示している。また、AhR KOマウスの複数回妊娠時における胎児死亡については、現在、一回目の妊娠出産には産仔数の低下は見られるものの産仔は得られている。
がん細胞の免疫逃避に関するAhR-キヌレニン(Kyn)-IDOフィードバックループに関して、B16F10細胞を用いた担がん実験を行うにあたり、ゲノム編集によるAhR欠損細胞の作成と、IDO強制発現株の作成を行った。これらの細胞を用いて、皮下への移植によるがん組織の定着、成長と尾静注による肺転移を検討している。
Kynのネガティブフィードバック機構について、培養細胞及び酵母レポーターアッセイ系で各種代謝酵素の影響を検討したところ、酵母レポーターアッセイではKynのアゴニスト作用が現れるのは100μM以上と高く、これが生体内での活性本体であるかは疑問が持たれた。一方、培養細胞でのレポーターアッセイでは、CYP1A1の強制発現によりKynのAhRアゴニスト作用が減弱することが確かめられ、本酵素がKynまたはKyn代謝物のAhRリガンド活性を代謝消去している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度はCovid-19感染防止の観点から、研究室所属学生の大学入構が許可されなかったため、実験に用いるマウスの数を増やすことができなかった。このため、実験に使用できるAhR KOマウスの数が足りず、担癌実験では主に野生型マウスを使用して行っている。

今後の研究の推進方策

AhR/Rag2ダブルノックアウトマウスでの盲腸発がんについて、引き続き動物数を増やして実験する。AhR KOマウスの複数回妊娠時における胎児死亡については、二回目の、三回目の妊娠における胎児死亡、産仔数の変化について検討するため、引き続き交配実験を続ける。
がん細胞の免疫逃避に関して、遺伝子改変を行ったB16F10細胞を用いた担がん実験を野生型マウスおよびAhR-KOマウスに対して行う。
Kynのアゴニスト活性については、細胞壁等を修飾した好感度アッセイ酵母株を用いてリガンド様作用を再検討するとともに、Kyn経路の代謝中間体についても検討する。また、AhR-Kyn-IDOフィードバックループの制御について、食事性AhRリガンドやCYP1A1阻害剤による免疫寛容の制御が可能かどうかをin vitro、in vivoで検討していく。

次年度使用額が生じた理由

20年度においては新型コロナの感染防止措置により、動物の維持、繁殖に関わる学生の大学入構ができず、動物実験に用いる遺伝子改変動物の頭数を増やすことができなかったため、計画していたマトリゲルを用いた担がん実験等の高額な試薬を用いた動物実験ができなかった。これらの実験は21年度において行う。また、参加予定であった各種学会の開催がオンラインとなり、旅費が生じなかった。21年度においてはこれまでの研究成果について、学会発表を行なう予定であるため、通常の対面形式で学会が開催される場合には、旅費が発生する見込みである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Construction of reporter gene assays using CWP and PDR mutant yeasts for enhanced detection of various sex steroids2020

    • 著者名/発表者名
      Ito-Harashima Sayoko、Matano Mami、Onishi Kana、Nomura Tomofumi、Nakajima Saki、Ebata Shingo、Shiizaki Kazuhiro、Kawanishi Masanobu、Yagi Takashi
    • 雑誌名

      Genes and Environment

      巻: 42 ページ: 933

    • DOI

      10.1186/s41021-020-00159-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Comprehensive analysis of DNA adducts (DNA adductome analysis) in the liver of rats treated with 1,4-dioxane2020

    • 著者名/発表者名
      TOTSUKA Yukari、MAESAKO Yuya、ONO Hanako、NAGAI Momoko、KATO Mamoru、GI Min、WANIBUCHI Hideki、FUKUSHIMA Shoji、SHIIZAKI Kazuhiro、NAKAGAMA Hitoshi
    • 雑誌名

      Proceedings of the Japan Academy, Series B

      巻: 96 ページ: 180~187

    • DOI

      10.2183/pjab.96.015

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi