研究課題/領域番号 |
19K07704
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 章太 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (70466580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント / 免疫抑制性受容体 |
研究実績の概要 |
【第一段階:実験動物を使用する研究】 B4遺伝子ノックアウトマウスなどの実験動物を用いてB4L1の発現レベルが異なる複数のがん細胞株に対する細胞傷害性T細胞による傷害活性測定等の解析をおこない、マウスB4-B4L1免疫チェックポイントに関する基礎データを収集した。さらに、in vitroでのB4免疫チェックポイント阻害薬の抗がん効果の解析を進め、マウスに阻害薬を投与して抗がん効果を検証する実験にも着手したところである。いずれも一定の抗がん効果を示すデータが得られてきている。また、AMED創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)のプログラムによる技術支援を利用して阻害薬の効果の向上にも取り組んでいる。本研究を遂行する過程で、既存の免疫チェックポイント阻害薬の使用で問題となっている免疫関連副作用(irAE)を本研究成果で緩和もしくは克服できる可能性が見えてきたため、irAEを検証可能とするマウスモデルの作製にも着手している。これにより、抗がん効果を得るとともにirAEを減少させる画期的な免疫チェックポイント阻害薬の開発につながることが期待できる。 【第二段階:ヒト由来試料を使用する研究】 健常人由来血液検体を用いてin vitroにおけるB4L1発現ヒトがん細胞株による細胞傷害性T細胞の活性抑制能の解析をおこなうとともに、重度免疫不全マウスであるNOGマウスにヒト免疫細胞を再構成させた「免疫ヒト化マウス」を使用したin vivoにおけるヒトB4-B4L1免疫チェックポイントシステムの解析にも着手している。2020年度においては、ヒトシステムにおける阻害薬候補の作製もおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に記載の「第一段階:実験動物を使用する研究」と「第二段階:ヒト由来試料を使用する研究」のいずれもほぼ予定通り進められており、同時に新たな課題も見い出して対応できているため。 第二段階の研究である免疫ヒト化マウスを使用する実験は着手したところであるが、予備実験でおおまかなデータが得られており、今後本実験でN数を増やしておこなう予定である。 現在保有のB4免疫チェックポイント阻害薬については改善の余地があり、その対策にも取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新たな課題として「既存の免疫チェックポイント阻害薬の使用で問題となっている免疫関連副作用(irAE)の改善・克服」を設定した。この課題は次世代の免疫チェックポイント阻害薬開発に必須と考えられるため、irAEを実験的に評価できるシステム構築をこれまでの計画と並行しておこなう。 現在保有のヒトシステムにおけるB4免疫チェックポイント阻害薬は、マウスシステムでの阻害薬に比べて効果が弱いと現時点のデータから判断しており、改善が必要である。この点については概要に記載したように、AMED創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)のプログラムによる技術支援を利用して阻害薬の効果の向上に引き続き取り組むことにしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫ヒト化マウスを使用する実験が予備実験を終えたところで本実験に入らなかったため、実験動物の購入費用および飼育費用の残余が生じた。残余分は2020年度に当該実験をおこなうための費用として扱う。
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