研究課題
肺扁平上皮がんは有効な分子標的治療が少なく治療が難しい。扁平上皮がんの特徴としてTP63遺伝子(以下、p63)の発現の増加が高頻度で認められ、p63のうち一つのサブタイプであるΔNp63遺伝子(以下、ΔNp63)は扁平上皮がんの診断マーカーとして用いられ、90%以上の扁平上皮がんで陽性との報告がある。ΔNp63は、代表的ながん抑制遺伝子であるp53遺伝子(以下、p53)とよく似た構造を持つファミリー遺伝子で、扁平上皮がんにおけるΔNp63の高発現は、p53のがん抑制機能を阻害することで、がんの発生や進行、治療への抵抗性を高めるものと考えられている。これまでに、ΔNp63関連遺伝子が扁平上皮がんのバイオマーカーや分子標的となる可能性に注目して研究を進めている。
2: おおむね順調に進展している
これまでにΔNp63のユビキチン化分解をSTXBP4が抑制することから、STXBP4を全部もしくは部分欠損した遺伝子を作製し、肺扁平上皮癌の細胞株にレトロウイルスにより感染させ安定発現株を樹立した。これらの培養細胞株を用いて網羅的遺伝子解析を行い、RNAの発現とマイクロRNAも含めた変動遺伝子の解析を行なっており、これらの結果は現在詳細を解析中である。今後は、これらのデータの詳細を解析するとともに、ΔNp63関連遺伝子が扁平上皮がんのバイオマーカーや分子標的となる可能性を検証する。
引き続き、RNAの発現とマイクロRNAも含めた変動遺伝子の解析を行なっており、これらの結果は現在詳細を解析中である。また、細胞レベルにおいてもこれらによる腫瘍性/腫瘍抑制効果について検討を行う。また、これまでに得られたCAGE法によるデータの詳細を解析するとともに、ΔNp63関連遺伝子が扁平上皮がんのバイオマーカーや分子標的となる可能性を検証する。
次世代シーケンサ解析に時間がかかってしまい、2回目の解析を期限内に行うことができなかった。当該部分は次年度の追加解析に使用する予定である。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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