研究課題/領域番号 |
19K07709
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
玄 泰行 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (80596156)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MYC / WNT/β-catenin |
研究実績の概要 |
MYC経路を抑制するmiRNAのスクリーニングとして、まず2565種類のmiRNAを用いて2つの細胞株で共通して増殖抑制効果の高いmiRNAを138種類抽出した。次に、これらのmiRNAのうち、MYC経路を抑制するmiRNAをMYC レポーターアッセイを用いてスクリーニングを行い、これまでMYCを抑制することが報告されていない新規のmiRNA(labo name: miR-X)を抽出した。スクリーニングの結果を検証するため、miR-Xを複数の癌細胞に導入したところ、ウエスタンブロッティング法でMYCの発現が抑制されること、in vitroにおいて強い増殖抑制効果を発揮することが確認できた。 次に、miR-Xの標的遺伝子(miR-Xが直接結合してその発現を抑制する遺伝子)の探索、ならびに、miR-X導入によるグローバルな遺伝子発現変化を調べるため、2つの細胞株を用いて、miR-XあるいはmiR-NC(コントロール)を導入して、遺伝子発現アレイを行った。GSEA解析の結果、miR-X導入後、2つの細胞株において共通して、MYC targets、Glycolysis、WNT/β-catenin経路が抑制されることが明らかとなった。また、TCF/LEFレポーターアッセイを用いてWNT/β-catenin経路に対するmiR-Xの導入効果を検証することができた。これらの結果から、miR-XはMYC経路、WNT/β-catenin経路を抑制し、癌細胞の増殖を強く抑制することが明らかとなった。 現在、これらの発現アレイの結果及び、Targetscan等のmiRNA標的遺伝子予測データベースをもとに、miR-Xの直接の標的遺伝子の探索を行い、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて検証を行う準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに当研究室で積み上げてきた解析手法、ライブラリースクリーニングの手技などが確立されており、計画的に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
MYC経路を抑制する、新規のmiR-Xの標的遺伝子の探索をまず行う。発現アレイの結果、及び、miRNA標的遺伝子予測データベースの情報からすでに、複数の標的遺伝子候補を選び、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて検証しつつある。 次に、miR-Xにより直接抑制される標的遺伝子が決まれば、当該遺伝子をノックダウンした際にMYCあるいは、WNT/β-catenin経路に対する評価を行う。用いる方法としてはウエスタンブロッティングによるMYC発現変化、TCF/LEF reporter assayによるWNT/β-catenin経路の評価を予定している。 また、並行してマウス皮下移植モデルを用いて、miR-Xの核酸抗癌薬としての可能性を評価する。用いる癌細胞はMYC経路に依存している細胞を予定している。
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