研究成果の概要 |
本研究では多発性骨髄腫におけるレナリドミド感受性についてDNA microarray・GSEA解析により, レナリドミド感受性細胞株で高発現するlncRNAを3種類(XIST, OVAAL, LINC02397)を同定した. さらにXISTlowOVAALhigh LINC02937low患者において有意に予後不良であり, GSEAの結果より多発性骨髄腫の予後不良に関与する遺伝子群”ZHAN MULTIPLE MYELOMA MS UP”がエンリッチされていた. このエンリッチされた遺伝子群中の1遺伝子がレナリドミド抵抗性に寄与することを過剰発現系などの結果より明らかとした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多発性骨髄腫(MM)においてIMiDs やPIs といった薬剤が開発され治療効果が得られているが, これらの治療薬をもってしても治癒に至らず, さらには抵抗性を示す難治性多発性骨髄腫がある. 本研究においてレナリドミドの感受性に起因するlncRNAとしてXIST, LINC02397を同定した. これらlncRNAのさらなる分子機序を解明することで, 臨床現場においてがん患者さんへの薬剤選択に役立つといったプレシジョン・メディシンへの応用に繋がり, 難治性多発性骨髄腫だけでなく予後絶対不良なマントル細胞リンパ腫に対する新規治療薬開発に繋がることが期待される.
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