多発性筋炎・皮膚筋炎は難治性の自己免疫性疾患で、筋肉の炎症や変性で筋力低下や痛みや、皮膚症状が初期症状として認められ、ステロイド治療、免疫抑制剤で治療効果が一時的に得られるが、悪性腫瘍や間質性肺炎を合併しやすくその場合は予後不良となる。そこで本研究では、多発性筋炎・皮膚筋炎における血清中可溶化CD146、抗CD146抗体およびガレクチン3を経時的に測定し、新しい病態予測マーカーとしての可能性を明らかにすることを目的とした。 CD146(MCAM)は、血管内皮細胞等に発現している細胞膜貫通糖蛋白質であり、細胞間接着と活性化シグナル伝達に係わる分子である。本研究においてCD146に対する特異抗体を用いて可溶化CD146および抗CD146自己抗体の測定系の確率に成功し、多発性筋炎・皮膚筋炎患者血清中に可溶化CD146および抗CD146自己抗体が優位に高値を示すことを確認した(論文投稿中)。 一方、ガレクチン3は、免疫応答の活性化や組織の繊維化に関与する分子である。そこで間質性肺炎を発症した自己免疫性筋炎患者の血清や組織におけるガレクチン3を定量し、ガレクチン3と病態の活性化状態との関連を検討した。その結果、血清中のガレクチン3は健常人と比較して、自己免疫性筋炎患者で優位に高値を示していた。また間質性肺炎を発症している筋炎患者では、肺炎非発症患者よりも血清ガレクチン3値は高く、急性期の患者のほうが慢性期よりも高いことが示された。さらに血清ガレクチン3値は、肺炎スコアや治療薬の効果と相関し、間質性肺炎組織での間質細胞や炎症細胞に発現していることが判明した。 以上の結果より、ガレクチン3は自己免疫性筋炎の新しい血清バイオマーカー候補としての有用性が示めされ、さらに急性期の間質性肺炎を予知できるバイオマーカーとしての将来性も示唆された。
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