研究課題
がん遺伝子パネル検査は、複数のゲノム変異が同時に検出可能な次世代シークエンサーを用いて、個々の人に対するがんのゲノム変異を明らかにし、その特性に応じた最適ながん治療の機会を供与することを目的とする検査である。遺伝子パネルには薬物療法の有効性、確定診断及び予後予測に係る既知の遺伝子が含まれ、遺伝子変異、欠失、挿入、遺伝子融合、コピー数異常等の情報を一度に明らかにすることが可能である。クリニカルシーケンスに於いても、知識データベース上に記載の無い遺伝子変異(variant of uncertain significance: VUS)が散見され、それらの遺伝子変異の生物学的意義は不明である。我々は、機能未知遺伝子変異に着目し、その変異が分子標的薬の標的となりうるActionableな変異であるかを証明することで、今後遺伝子パネル検査が保険承認される際に、薬剤導入の根拠となり得る。近年の分子生物学の進歩により、がん細胞の悪性形質獲得に関連のある複数の遺伝子が同定されるようになった。「1遺伝子変異1診断薬」の原則では、ドライバー遺伝子数の増加に伴い解析に必要な腫瘍量及び測定時間が増加する為、生検等の微小腫瘍組織からも複数遺伝子を同時に測定可能なマルチ遺伝子診断薬の臨床導入が求められている。近畿大学では、2013年からのNGS解析により機能未知の遺伝子変異が複数同定されており、知識データベースに記載の無い機能未知の遺伝子変異に着目し、その変異導入細胞株を作成し、新規治療標的や薬剤感受性マーカーを探し出し、新しいがん治療の開発に繋げたい。
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