研究課題/領域番号 |
19K07726
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
清水 公裕 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (90375535)
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研究分担者 |
矢島 俊樹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20346852)
横堀 武彦 群馬大学, 未来先端研究機構, 准教授 (60420098)
中澤 世識 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (60791978)
調 憲 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70264025)
尾林 海 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (70726249)
永瀬 浩喜 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 研究所長 (90322073)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スタスミン / 肺がん / 微小管 / パクリタキセル |
研究実績の概要 |
これまでに本研究で注目したSTMN1が癌特異的に過剰発現し、患者予後、癌悪性度と関連する有望な治療標的候補であることを報告してきた。さらに代表的な難治性癌である高悪性度肺神経内分泌腫瘍 [HGNET:大細胞神経内分泌癌 (LCNEC) +小細胞癌 (SCLC)] においてSTMN1 が全癌腫の中で最も過剰発現することも明らかにしてきた。 本研究では、HGNETにおけるSTMN1標的治療戦略の意義を解明することを目的としている。今年度は、ピロールイミダゾームポリアミド (PIP)化合物を用いてHGNET細胞株のSTMN1を特異的に抑制できるか、またその抑制が増殖能、浸潤能、薬剤感受性に与える効果を検証した。その結果、STMN1特異的PIP化合物によりHGNET細胞株のSTMN1発現が抑制されることをqRT-PCR法、Western blot法にて確認することができた。さらに、STMN1特異的PIP化合物によりHGNET細胞株の増殖能、浸潤能はコントロール群と比較して有意に抑制されることが明らかとなった。 STMN1は微小管不安定化因子として知られており、微小管作動薬でありHGNETの治療薬として使用されるパクリタキセルの耐性誘導に寄与することが報告されている。そこで、STMN1特異的PIP化合物とパクリタキセルの併用効果をHGNET細胞株で検証した結果、併用群はコントール群、PIP化合物単独群、パクリタキセル単独群と比較して有意に細胞増殖が抑制された。 令和3年度の研究では動物実験でのSTMN1特異的PIP化合物の薬効とパクリタキセルとの併用効果について検証する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では千葉県がんセンターで新規合成したSTMN1特異的PIP化合物が代表的な難治性癌であるHGNET細胞に対して薬効を示すのか、既存のHGNET治療薬でありパクリタキセルとの併用効果はあるのかを細胞実験、動物実験で検討する計画である。 前述のごとく、すでにこれまでの実験データからHGNET細胞株に対してSTMN1特異的PIP化合物が抗腫瘍効果、パクリタキセルとの併用効果を示すことが明らかとなった。このことから、本研究プロジェクトは概ね順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのデータから細胞実験レベルでSTMN1特異的PIP化合物が抗腫瘍効果を示し新規抗がん剤の候補として有望であること示されていることから、申請時に計画通り今後は担癌モデルマウスを用いた動物実験でSTMN1特異的PIP化合物の薬効、パクリタキセルの併用効果を検証する予定である。また、次世代シークエンス解析を用いてSTMN1特異的PIP化合物がHGNET細胞株の遺伝子発現プロファイルに与える影響を網羅的に解析することで、抗腫瘍効果ならびにパクリタキセル増感効果が誘導される基礎メカニズムについても解析できればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
資材等の費用が見込みを下回ったため次年度使用額が生じた。これについては、論文投稿に関わる費用に使用する。
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