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2020 年度 実施状況報告書

新規磁性体粒子による胃癌腹膜播種の克服

研究課題

研究課題/領域番号 19K07730
研究機関岡山大学

研究代表者

岸本 浩行  岡山大学, 医学部, 客員研究員 (50613155)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード温熱治療 / 磁性ナノ粒子 / 腹膜播種 / 胃癌
研究実績の概要

腹膜播種の克服は胃癌の生存率の向上に必須である。腹膜播種は、原発巣から遊離した癌細胞が、大網の乳斑と呼ばれるリンパ装置に特異的に着床して生じると考えられている。本研究では、磁性体粒子の腹腔内投与を行い、その磁性体粒子を選択的に乳斑に集約させたのちに磁場印加による加熱を誘導せしめ、その温熱効果にて、乳班に着床している腹膜播種の原因となる胃癌細胞を根絶させる新規治療技術の開発を目標としている。
2019年度は、in vitroで胃癌を含む各種の株化腫瘍細胞を用いて、治療に最適な交流磁場発生装置の各種パラメーター(使用コンデンサやコイルの条件、周波数、印加時間など)が関係する磁場の出力条件の検討や、治療に最適な磁性ナノ粒子の検討を行った。新規磁性ナノ粒子としては、イットリウム鉄ガーネットと、すでに臨床応用されているMRI造影剤であるフェルカルボトランと同組成だが粒子径の異なる各種のサイズの粒子を用いて検討を行った。その結果、通常よりややサイズの小さいフェルカルボトランが最適との結果を得た。新規磁性体粒子として使用の検討をしていたイットリウム鉄ガーネット粒子は分散性で問題があり、問題点の改善方法の模索を継続している。また、マウスにフェルカルボトランを腹腔内投与すると乳斑に集積することを組織学的に確認した。
2020年度は、主に非担癌マウスにおいて、磁性ナノ粒子(フェルカルボトラン)を腹腔内投与して交流磁場を印加することで、マウスにどのような変化が生じるかを生化学的、組織学的に検証している。
以上の結果をもとに、最終年度である2021年度は、マウスの腹膜播種モデルを使用し、磁性ナノ粒子の腹腔内投与後の交流磁場印加で腹膜播種形成の抑制が認められるかどうかの検討を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画していた、(1) 癌治療に効果的な、交流磁場の最適な照射周波数、照射強度、照射時間、に関して至適条件の検討、(2) 治療実験に使用する磁性ナノ粒子の選定、(3) マウス腹腔内投与における磁性体ナノ粒子の分布の検討、(4) マウスに侵襲を与えない磁性ナノ粒子の投与量と磁場印加条件の検討、といった本研究の主要なステップにおいて成果を認めている。イットリウム鉄ガーネット粒子は分散性で問題があり、問題点の改善方法の模索を継続している。
前述の成果により、次年度の研究につながる重要な課題は達成できたと考えている。また、マウス腹膜播種モデルの作成にも成功しており、in vivoでの治療効果の検討を行う準備も整っている。

今後の研究の推進方策

2020年度までの研究成果を踏まえ、in vivoにおける治療効果を検証する。得られた結果を、国内外の学会で報告し、論文報告を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究に使用する物品の購入が想定より安くついたため、次年度使用額が生じた。
繰り越した予算は、磁場印加のための機器の調整、in vivo実験に必要な動物と試薬の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] フェルカルボトランを用いた胃癌腹膜播種に対する磁気温熱療法2020

    • 著者名/発表者名
      松三雄騎、岸本浩行、香川哲也、矢野修也、重安邦俊、岡林弘樹、大原利章、田澤大、藤原俊義
    • 学会等名
      第75回日本消化器外科学会

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公開日: 2021-12-27  

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