研究課題
基盤研究(C)
本研究では胃癌の腹膜播種マウスモデルにおいて、磁性ナノ粒子として超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)を使用して磁気温熱療法を試みた。SPIONを腹腔内投与し、交流磁場を印加し磁気温熱療を行ったところ、未治療群と比較して腹膜播種形成は有意に抑制された。本研究により、磁性ナノ粒子と交流磁場を用いた磁気温熱療法は胃癌の播種病変に対する新規治療法となることが示唆された。
磁気温熱療法
胃癌は、肉眼的に病巣を完全切除できても、腹腔内遊離癌細胞を認めた場合は、術後5年で9割が腹膜播種再発で死亡する。播種病変は標準治療である化学療法では治療困難であるため新たな治療が求められている。我々は、これまで播種病変に治療応用されたことがない交流磁場焼灼療法に注目した。本研究では、発熱能力の高い磁性ナノ粒子を腹腔内投与し、磁場印加して磁性粒子を発熱させて腹膜播種再発の原因となる遊離癌細胞を選択的に死滅させる治療コンセプトを証明し、新しい胃癌治療の可能性を示した。