研究課題
がん悪液質研究はマウス由来モデルを中心に発展し、サイトカイン等の悪液質発症への関与が示されてきた。しかし、未だに有効な治療法の確立には至っていない。研究代表者らは、先の研究においてヒト由来がん悪液質モデルを構築した。このモデルを用い筋細胞内における脂質代謝の変化ががん悪液質における筋萎縮の発症に深く関与することを示した。本研究では、細胞内の代謝変化と筋萎縮の関連をさらに詳細に明らかにする。最終的には、細胞内代謝を標的とした悪液質に対する安全でかつ新しい治療法の開発を目指す。ヒト細胞由来因子によるヒト由来筋細胞の刺激により、細胞内代謝が大きく変化することを明らかにした。ヒト細胞由来因子によりCE/MS解析では、クエン酸回路内の代謝変化、また、解糖系の代謝変化が認めらることを明らかにした。マイクロアレイにより、脂質代謝関連分子の上昇が認められることも明らかになっている。さらに我々は、腎癌患者由来の腫瘍を用いた悪液質のPatient-derived Xenograftモデルを確立しており、このモデルから得られた筋組織を用いてin vivoモデルでも筋細胞内代謝変化についてin vitroにおいて行った実験と同様に評価を行う。また、FDA approved drug libraryを用いたドラッグリポジショニングによる治療法の探索も行い細胞内代謝に関連する薬剤の絞り込みを行った。その結果、現時点で19薬剤にまで絞り込みを行っている。今後、これらの薬剤による癌悪液質における筋萎縮の抑制効果について評価を行う予定としている。
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