研究課題
オシメルチニブはEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者の治療の第一選択薬となる第3世代EGFR-TKIである。EGFR遺伝子エクソン19欠損を有するPC9、H1650、HCC827、HCC4006細胞およびL858R点突然変異を有する11-18細胞を用いて、オシメルチニブのecto-CRT誘導能を評価定量した。オシメルチニブの各IC50による暴露は、5種類全てのEGFR遺伝子変異陽性細胞株でecto-CRT陽性率を上昇させた。オシメルチニブによるecto-CRT発現の平均相対増加率は統計学的に有意であった。また、5種類の細胞株でのCRT陽性率とannexin V 陽性率の間に有意な相関を認めた。オシメルチニブ処理によるecto-CRTおよびannexin V の相対的発現量の増加は、Z-VAD-FMKの併用処理により有意に減弱した。次に、実臨床において全身化学療法を受けた進行期NSCLC患者において、患者血漿中における可溶性CRT濃度の変化の有無をELISA法を用いて評価した。NSCLC細胞株で比較的ecto-CRT誘導効果の高かった。DTXもしくはPEM単剤治療を受けたNSCLC患者の血漿中可溶性をCRTを測定した調べた。血漿は16人の非小細胞肺癌患者から、治療1サイクル目の開始前(pre)、3日後、8日後、1コース終了時の異なる4点で採取された。治療開始後の可溶性CRTの最大値は治療開始前より有意に増加した。最後に、同様の解析をオシメルチニブを投与されたEGFR遺伝子変異陽性進行期NSCLC患者でで施行した結果、治療開始後の可溶性CRTの最大値は治療前より有意に増加した。これらの結果から、様々な殺細胞性抗癌剤及び第3世代EGFR-TKIが、進行期NSCLC患者の血漿中可溶性遊離CRT濃度の増加させ、ICI治療の抗腫瘍効果増強に適した併用薬となりうる可能性が示唆された。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Lung Cancer
巻: 155 ページ: 144, 150
10.1016/j.lungcan.2021.03.018.