研究課題/領域番号 |
19K07735
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
日吉 幸晴 公益財団法人がん研究会, 有明病院 大腸外科, 副医長 (30573612)
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研究分担者 |
徳永 竜馬 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (20594881)
清住 雄希 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (30827324)
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (70583045)
宮本 裕士 熊本大学, 病院, 講師 (80551259)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 直腸癌 / リンパ節転移 / 微小転移 / OSNA / 放射線化学療法 |
研究実績の概要 |
本研究は、直腸癌微小リンパ節転移の検出法の確立と、その臨床的意義を明らかにすることを目的とし、2019年度は熊本大学消化器外科で、2020年度以降はがん研有明病院で行った。2021年度までに、術前放射線治療後に手術を行った進行下部直腸癌症例(25例)を対象として、OSNA法を用いてリンパ節微小転移検出を試みた(摘出リンパ節を半割し、半分を通常の病理検査へ、半分をOSNA用にPoolして転移解析を行った)。1症例あたりのOSNA解析数は1-3(中央値2)であった。病理学的リンパ節転移陽性率は6/25(24%)、OSNA陽性率は3/25(12%)であった。病理学的転移陰性19例のうち1例でOSNA陽性であった。OSNA法のリンパ節転移検出能は、感度:2/6(33%)、特異度:18/19(95%)、陽性反応的中率:2/3(67%)、陰性反応的中率:18/22(82%)であった。以上より、術前放射線治療後の直腸癌症例におけるOSNA法を用いたリンパ節転移検出では、感度が低いことが課題となった。感度が低かったことの考察として、①OSNA法ではCK19 mRNAを増幅させることでリンパ節転移を検出するが、術前の放射線治療がCK19 mRNAに影響を与えた可能性、②術前放射線治療症例では、ときにリンパ節の萎縮や線維化が強く、摘出検体からリンパ節を同定することが難しいため、OSNA用の検体を適切に採取できていない可能性、③リンパ節検体をPoolしてOSNA解析を行うPool法が適切ではなかった可能性、④直腸癌原発巣に近いリンパ節は病理検査のみで評価されていてOSNA解析は行っていないため、病理検査のみで転移陽性となった症例が1例あったこと等が挙げられた。また、本研究は症例数も少なく、直腸癌放射線治療後のリンパ節転移検出法としてのOSNA法の妥当性、有用性を結論づけるに至らなかった。
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