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2019 年度 実施状況報告書

尿中抗体を利用した膀胱がん早期診断マーカーの獲得と診断キット開発に向けた検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K07738
研究機関北里大学

研究代表者

長塩 亮  北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (40618568)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード膀胱がん / 診断マーカー / 尿中自己抗体
研究実績の概要

膀胱がんをより早期に検出でき、かつ簡易検査で使用可能なマーカーの獲得を目指し、膀胱がん患者尿中の自己抗体に着目した研究を行った。尿は直接腫瘍に晒されていることから膀胱がん特異的な抗体が多数存在すると考え、膀胱がん患者尿中に含まれる抗体をProtein Aカラムを用いて精製し回収した。個々の患者における抗体の存在量をSDS-PAGE法により確認した結果、個体差はあるものの、以降の実験に十分な量の抗体が回収できることを確認した。回収した尿中抗体を一次抗体として、膀胱がん細胞株のタンパク質を対象とした二次元免疫ブロット法を行った。その結果、膀胱がん患者の尿中抗体と反応した抗原タンパク質は28スポットであった。検出された抗原タンパク質スポットの中には膀胱がん患者の8割以上で反応性を示す抗原タンパク質も認められた。検出された抗原タンパク質スポットと一致する部分をCBB染色したゲルから切り出し、トリプシンを用いたゲル内消化を行った後、LC-MSを用いてタンパク質を同定した。まだ詳細な検討は行っていないのでタンパク質名は伏せるが、細胞骨格系や腫瘍発生、細胞膜上の受容体など、様々な機能に関わるタンパク質が含まれていた。これらは有望な膀胱がんの診断マーカーの候補となる可能性がある。今後はこれらの候補となるタンパク質を同定していくことに加え、同定されたこれらの自己抗体の特異性を健常者尿ならびに良性疾患患者尿を用いたELISA法を用いて確認する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

膀胱がん患者の尿検体を用いて、膀胱がん細胞株のタンパク質を対象とした二次元免疫ブロット法により、膀胱癌患者尿中の抗体が認識する抗原タンパク質を検出した。これらのタンパク質の同定の際に、当研究室が保有する質量分析装置が不調となり、タンパク質の同定までに時間を要した。現在は同大学内の別の装置を用いてのタンパク質同定が可能となっている。

今後の研究の推進方策

①膀胱がん患者尿中抗体を用いた抗原の同定(昨年度より実施中): 膀胱がん患者尿を一次抗体に用いた二次元免疫ブロット法により、膀胱がん細胞株由来のタンパク質に反応性を示す自己抗体が認識する抗原タンパク質を引き続き同定する。
②同定された尿中自己抗体の診断マーカーとしての評価: ①で同定された抗原タンパク質のうち、多くの症例で共通していた抗原を中心にタンパク質合成を行う。膀胱がん患者尿、健常者尿及び非腫瘍性尿路系疾患患者尿(尿路結石や膀胱炎など)を用いたELISA法により反応特異性を評価することで、膀胱がんの診断マーカーとしての有用性を確認する。
③同定された抗原タンパク質の膀胱がん組織での発現の確認: ②で有用性の確認が取れた自己抗体が認識する抗原タンパク質の局在が膀胱がん組織由来であるか否かを確認するため、膀胱がん組織を用いた免疫染色法にて検討する。

次年度使用額が生じた理由

尿中抗体を用いた二次元免疫ブロット法で検出した抗原タンパク質の同定に少し時間を要したため、タンパク質合成やELISA法に関する費用の執行がなかった。これらについては次年度にタンパク質合成やELISA法の費用として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] TRAP1 is a predictive biomarker of platinum-based adjuvant chemotherapy benefits in patients with resected lung adenocarcinoma.2020

    • 著者名/発表者名
      Kuchitsu Y, Nagashio R, Igawa S, Kusuhara S, Tsuchiya B, Ichinoe M, Satoh Y, Naoki K, Murakumo Y, Saegusa M, Sato Y.
    • 雑誌名

      Biomed Res

      巻: 41 ページ: 53-65

    • DOI

      10.2220/biomedres.41.53.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Prognostic significance of IMMT expression in surgically-resected lung adenocarcinoma.2019

    • 著者名/発表者名
      Hiyoshi Y, Ichinoe M, Nagashio R, Hagiuda D, Kobayashi M, Kusuhara S, Igawa S, Shiomi K, Goshima N, Murakumo Y, Saegusa M, Satoh Y, Masuda N, Naoki K.
    • 雑誌名

      Thorac Cancer

      巻: 10 ページ: 2142-2151

    • DOI

      10.1111/1759-7714.13200. Epub 2019 Oct 3.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 二次元電気泳動法を利用した腫瘍マーカー候補タンパク質の獲得2019

    • 著者名/発表者名
      長塩 亮
    • 雑誌名

      電気泳動

      巻: 63 ページ: 7-9

    • 査読あり
  • [学会発表] 肺腺癌におけるTRAP1の術後補助化学療法の治療効果予測マーカーとしての有用性評価2019

    • 著者名/発表者名
      朽津有紀、長塩亮、井川聡、土屋紅緒、佐藤雄一
    • 学会等名
      JPrOS/JES2019合同大会
  • [学会発表] 二次元電気泳動法を利用した腫瘍マーカーの獲得について2019

    • 著者名/発表者名
      長塩亮
    • 学会等名
      JPrOS/JES2019合同大会
  • [学会発表] 安定同位体標識法とGeLC-MS/MS法を組み合わせたタンパク質存在様式の比較分析法の確立と応用2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤大晃、紺野亮、福井朋也、松井崇、長塩亮、佐藤雄一、小寺義男
    • 学会等名
      JPrOS/JES2019合同大会

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公開日: 2021-01-27  

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