研究課題/領域番号 |
19K07740
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
加藤 俊介 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40312657)
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研究分担者 |
藤井 智明 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (10511420)
山口 茂夫 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (40747797)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | BRAF / lncRNA / シグナル依存 / 薬剤感受性 |
研究実績の概要 |
がん原遺伝子BRAFの変異は甲状腺がんをはじめ、悪性黒色腫、大腸がん、非小細胞肺がん、と各種臓器横断的に構造変異が報告されている代表的なドライバー変異である。しかしBRAF変異を有する腫瘍の増殖能やBRAF阻害剤に対する感受性は、由来臓器に依存して大きく異なっている。例えばBRAF変異を有する大腸がん症例はRASなどその他のドライバー変異を有する症例に対して予後が著しく不良であるのに対して、BRAF変異を有する甲状腺がんでは予後不良因子とはなっていない。BRAF変異依存性増殖、あるいはBRAF変異標的治療の有効性は由来臓器毎に異なることは、各臓器がん由来培養細胞を用いたBRAF発現抑制実験においても証明されている。このBRAF阻害剤に対する感受性が何に由来するものかを明らかにすることは、薬剤耐性メカニズムの解明にも有益な情報となる。 本研究においては、これら由来臓器毎のBRAF変異依存性の違いは、long non-coding RNA(以下lncRNA)によるエピジェネティックな修飾や翻訳後修飾に起因しているとの仮説を立て、ゲノム編集技術を利用した網羅的lncRNA発現制御システムを新たに構築して、BRAF変異依存性に影響を与えるlncRNAの単離、機能解析を目指している。そのために、BRAF変異を有する細胞株(RKO、HT29)を入手し、BRAF阻害剤に対するIC50を取るとともに、研究に必要な細胞、sgRNAライブラリーを購入し、必要なコンポーネント(転写因子の動員を促進する融合タンパク質をコードするMS2-P65-HSF1)を細胞内に導入するため、セレクションマーカーとなる抗生剤のIC50を決定した。同時進行で、sgRNAライブラリーの増幅を行い、細胞への導入準備をしている所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度末からの新型コロナ肺炎の流行のため、研究実施者の大学院生の自宅待機、研究試薬の納入の遅れもあり、若干進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験再開とともに、培養細胞RKO、HT29に安定的にMS2-P65-HSF1蛋白質を発現するstable transformantの細胞を樹立する。各細胞株に現在準備中のlncRNAライブラリープラスミドをレンチウィルスにて導入する。ライブラリーを導入後、親株、樹立ライブラリー発現株を対象にBRAF阻害剤によるpositive selection, negative selectionを行い、感受性に影響を与えるlncRNAの単離を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
若干研究の進捗に遅れが出ていることに起因している。今後は主に細胞培養に供する培地、試薬などに利用する予定である。
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