研究課題/領域番号 |
19K07741
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
大野 喜也 兵庫医療大学, 薬学部, 講師 (40509155)
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研究分担者 |
田中 稔之 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (30217054)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント / 免疫関連有害事象 / IL-18 |
研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬はがんに対する免疫応答を誘導する一方、自己に対する免疫寛容をも解除して自己免疫性・炎症性の組織傷害 (免疫関連有害事象, irAE) をもたらす。近年、免疫チェックポイント阻害薬を用いたがん免疫療法の拡大に伴い、irAEの報告が増加している。irAEの重症化は免疫チェックポイント阻害薬によるがん治療の継続を困難にするが、irAEの発症機構には不明な点が多く、克服は難しい。そのため、免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍作用の免疫学的機序に加え、irAEの発生機序の解明が急がれる。しかし、マウスなどはirAEを発症しにくく、irAEの機序を解析するための適切なモデルが不足している。 研究代表者らは、昨年度までに複数の免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせて担がんマウスに投与することで、マウス免疫チェックポイント阻害薬に起因する肝傷害が誘発されることを見出した。さらに、SPF環境と比較してコンベンショナル環境で飼育されたマウスでは、肝傷害の程度が増悪する傾向にあった。一方、加齢マウスではその程度が低くなる傾向にあった。そこで、それぞれのマウスのT細胞およびNK細胞における免疫チェックポイント分子の発現について検討を行った。その結果、SPF環境と比較してコンベンショナル環境で飼養したマウスのT細胞およびNK細胞では、特に4-1BBなどの発現が亢進している傾向が見られた。その一方で、加齢マウスでは、PD-1やTIGITなどを発現したT細胞の増加が見られた。また加齢マウスのNK細胞では、4-1BBの発現の亢進が観察された。現在、これらの免疫チェックポイントの発現パターンの違いが、肝傷害発症に及ぼす影響について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症対策のために、研究施設を利用できない期間が一定期間あった。このため、当初の予定から遅れて進行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、継続してirAE肝障害マウスにおける細胞傷害性細胞やその活性化機序、細胞動員機構について検討を進める。またIL-18の正常組織保護作用について、IL-18欠損マウスを用いた解析を進める。またIL-18によって活性化される細胞サブセットとその正常組織保護作用について解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウイルス 感染症対策のため、一定期間研究を中断した。そのため、使用予定としていていた実験動物や試薬などの購入計画に変更が生じた。これらについては、次年度内に予定されている研究計画に合わせて執行予定である。購入の予定の試薬や動物については、大きな変更はない。
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