研究課題/領域番号 |
19K07743
|
研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
方 軍 崇城大学, 薬学部, 准教授 (20412736)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | EPR effect / Tumor targeting / Intralipid / RES / off-target delivery |
研究実績の概要 |
本年度は、研究実施計画を踏まえ、主にIntralipidの併用によるナノメディシンの効果増強をin vivoで各種固型腫瘍モデルを用い検討した。期間中に、下記の主な研究成果が得られた。 1) 薬物動態:Intralipidの前投与により、光線力学治療(PDT)ナノプローブP-PyFの肝臓への集積が有意に減少し、その代わりに腫瘍への集積が顕著に(約2倍)上昇した。P-PyF単独投与の腫瘍内集積AUCが0.997 ± 0.26 mg/mLであったが、Intrapidの併用によりAUCが1.54 ± 0.8 mg/mLに上昇した。他の正常臓器においてIntralipidの前投与による薬物集積の変化はほとんど認められなかった。この結果より、Intralipidは肝臓のRESを抑制し、off-targetデリバリーの減少により腫瘍集積を増加したことが分かった。 2) 抗腫瘍効果:マウス肉腫S180モデルおよびマウス大腸癌C26モデルにおいて、Intralipidの前投与は当研究室で開発した高分子ナノ抗がん剤SMA-CDDP、PDTナノプローブP-PyFの抗がん治療効果を著しく増強した。臨床で応用されているナノ抗がん剤ドキシルを用いても同様な併用治療効果が得られ、Intralipidの前投与によりドキシルの抗がん効果が約2倍増強された。 3) 副作用評価:上記の各治療後、動物の体重の減少は見られず、肝機能の変化(ALT、AST)も認められなかった。Intralipid併用治療による副作用がほとんどないと示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の影響で予定していた学会の参加はできなかったが、研究はほぼ計画通りに進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果を踏まえ、今後下記の項目について検討する。 1) Intralipidをナノプラットフォームとする抗がんナノ製剤の開発。Intralipidを用いて従来の各種抗がん剤(アクラルビシン、パクリタキセル、ピラルビシンなど)のリピドナノ粒子の作製を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の影響で、予定していた学会の参加ができなくなり、生じた残額は次年度に使用することを申請しました。 次年度で、癌学会の参加や、Intralipidに関するfollow-up実験に使用する予定です。
|