研究課題/領域番号 |
19K07744
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
飯田 直子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (40360557)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バイオインフォマティクス / バイオマーカー / がん / DNAメチル化 / SVM |
研究実績の概要 |
本研究は、バイオマーカー探索に非線形分離手法を利用し、これまで見つからなかった精度の高い新規バイオマーカーを効率よく同定する方法を確立することを目的としている。該当年度は、データベースとサポートベクターマシーン(SVM)を利用した線形&非線形分離パターンのバイオマーカーの探索プログラム作成を目的とした。 前年度に、大規模データベースから取得した1028がん細胞株の256種類の薬剤感受性データ(http://www.cancerrxgene.org)と957がん細胞株のDNAメチル化データ(http://cancer.sanger. ac.uk/cell_lines)を利用し、薬剤とターゲットプローブの選別を行っていた。 本年度は、このデータセットを用い、SVMを利用した線形&非線形分離パターンのバイオマーカー探索プログラムの作成を行なった。プログラムは、1)ターゲットプローブについてDNAメチル化値データを作成、2)サンプルの薬剤奏効性データファイルの作成、3)テスト用データとバリデーション用データの作成、4)テスト用データを用いたSVMの実行、5)バリデーション用データを用いたSVMの実行、の5段階からなる。 本研究では、116症例の食道がん根治的化学放射線治療奏効性情報が有るサンプルを利用予定であり、そのうち 41 症例についてはターゲットシークエンスによる変異解析及びDNAメチル化アレイ解析結果を得ている。これらのデータも加え、スクリーニングとバリデーションを繰り返し、得られた知見をもとにプログラムのパイプライン化を行い、バイオマーカーの同定を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
該当年度は、大規模データベースを利用して選別した薬剤の薬剤奏効性とメチル化データを用いて、SVMによるスクリーニングと検証の実行を行い、バイオマーカー同定手法の確立を行った。ワークフローは、1)ターゲットプローブについてDNAメチル化値データを作成、2)サンプルの薬剤奏効性データファイルの作成、3)テスト用データとバリデーション用データの作成、4)テスト用データを用いたSVMの実行、5)バリデーション用データを用いたSVMの実行、の5段階を設定し、それぞれのプログラムを作成した。いくつかの薬剤について、スクリーニングを行なった結果、感度、特異度が良い候補ターゲットプローブを得られた。さらに、バリデーションを行い、感度、特異度を保持したターゲットプローブを確認出来た。よって、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、候補ターゲットをスクリーニングする上で、薬剤奏効性を示す値の分布、メチル化値の分布を十分理解した上で、データセットを作成することが、重要であると考えられた。今後は、臨床検体のデータセットについて、テスト用データセット、バリデーション用データセットの作成を進める。候補となるターゲットプローブが得られない場合は、データセットの作成からやり直し、研究を進めることが重要だと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
公共大規模データを用いた解析において、予定より計算機資源に費用がかからなかったことから、翌年度分に使用分に繰り越しを行なった。 翌年度は実験的な検証を行うため、シークエンンスやそのための実験試薬が必要である。十分な実験的検証を行うため、繰越金を含めた助成金を使用する計画である。
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