本研究の目的は、AlphaLISA法による網羅的解析により、免疫介在性有害事象に関与する特異的自己抗体の有無を明らかにするとともに、特異的自己抗体の同定を行うことによって、免疫介在性有害事象の診断・発症リスクの適切な評価方法の確立・病態解明に寄与することである。 本研究は前向きコホート研究となっており、研究責任者の所属する千葉大学医学部附属病院の各診療科、多数のがん種についての症例登録と、研究協力医療機関である千葉県がんセンター呼吸器内科からの症例登録を進めた。 2022年3月時点で、180例以上の症例登録と検体確保が得られ、免疫介在性有害事象発症症例については、15例ほどと、想定よりやや累積数は少なかった。さらに、免疫介在性有害事象の多様性から、複数の免疫介在性有害事象に分散していることから、1次スクリーニングの実施が遅延したが、2021年度内にスクリーニングを実施しており、結果が得られ次第、解析を実施する。 今後の解析については、多数の研究経験を有する千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学・遺伝子生化学の教官からの協力を得ながら実施し、スクリーニング結果をもってirAEに関連する自己抗体の同定を実施する。 免疫介在性有害事象の診断、本研究の解析によって得られた知見についての解釈については、基礎研究面でのサポートともに、臨床面では千葉大学医学部附属病院にチーム支援体制が構築されており、各領域の臨床専門家の助言を得て、今後検討を行う。
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