研究分担者 |
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (10267164)
増井 俊彦 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20452352)
上本 伸二 滋賀医科大学, 医学部, 学長 (40252449)
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30165162)
柚木 知之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50639094)
金涌 佳雅 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80465343)
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研究実績の概要 |
最難治がんである膵がん、胆管がんに対して、早期診断を可能とする簡便かつ感度の高い検査法の開発は喫緊の課題である。我々は構造工学の分野で用いられている「構造物の動的特性(モード)を評価する振動解析の技法」を取り入れた新規血清検査法の開発を行い、膵がん、胆管がんの診断への適応を考え、手術を予定した膵臓がん患者の治療開始前に採取した血清を用いて、NMRモード解析を行って検討した。 結果として、膵がん患者46名と非がん患者20名を対象にした解析を行った。本研究手法による解析は膵がん患者と非がん患者の判別において、明瞭な判別能を有していることが分かった(R2=0.989, Q2=0.948)(Sato A et al, SciRep. 2020, 10:21941)。これは、臨床で用いられる血清中の腫瘍マーカーであるCA19-9やCEA(それぞれ陽性的中率88%, 97%, 陰性的中率36%, 54%)と比較しても高い有用性をもつと考えられた。 また、膵がん患者46名の血清サンプルは外科的切除前の時点でのものであったが、同サンプルを用いて治療予後を予測することが可能であることを示した(Sato A et al, SciRep. 2020, 10:21941)。2年生存をカットオフとして長期予後群と短期予後群のNMRモード解析による判別能はR2=0.989, Q2=0.914であり、これらもまたCA19-9やCEA(それぞれ陽性的中率64%, 60%, 陰性的中率 53%, 63%)高い有用性をもつと考えられた。 上記研究は生存期間そのものに対する検討であったが、治療選択肢選定における重要な因子を外科的切除前に事前に判別可能であるかを検討すべく、これらの解析を通じて得られたデータをブラッシュアップし、前向きな識別モデルの構築を今後も検討継続していく予定である。
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