研究実績の概要 |
日本では毎年5000人ものAYA世代の若者ががんに罹患している。AYA世代のがん対策は政策提言にもある通り、これからの日本の医療にとって大きな課題である。今回我々はAYA世代で問題となる希少がん、特に治療法の進歩の乏しい軟部肉腫に注目した。軟部肉腫の切除不能例に対する化学療法はDoxorubicin単剤が未だに主流であるが効果に乏しい。進行軟部肉腫の予後改善のため、新規治療法の開発がAYA世代のがん患者救済のためにも必須である。申請者らはこれまでに、Liposomeを利用した新たなDrug delivery system (DDS)を開発(Nat Biotechnol. 2008)。この技術を応用し新たなる標的抗がん療法を開発し特許も申請した(特許第5936002号)。そこで本研究ではこのDDSに、軟部肉腫に集積することが明らかになっているFluorodeoxyglucose (FDG)を応用することで、軟部肉腫に対する新たなDDSを用いた新たな抗がん療法を開発することを目標とした。NOS-1,SKN,SSA3,ASK,HT1080におけるDoxorubicin, Ifosfamide, Docetaxel, Gemcitabine, Pazopanib, Trabectedin, EribulinにおけるBH3 profilingを行い、薬剤感受性を確認した。またdelivery効率を IVIS in vivo image analyserで 解析した。また2019年から2021年までに29人の軟部肉腫患者の組織型、治療薬、予後調査を行い情報収集した。
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