研究課題
癌細胞は生体内において自己の増殖に好都合な環境を周囲の支持細胞や腫瘍内に浸潤している免疫関連細胞と協調して作っており、同局所環境は癌免疫微小環境(Tumor immune microenvironment:TIME)と呼ばれている。近年、TIMEにおける様々な免疫現象をターゲットとした新規抗がん標的の開発が行われており非常に注目されている。本研究では、これまでに我々が開発した悪性黒色腫(B16F1)担癌マウスに対する同種反応性活性化CD4陽性T細胞療法(担癌宿主の樹状細胞を用いて体外活性化した同種CD4陽性T細胞を腫瘍内投与)により、同種免疫反応を基点として宿主の抗腫瘍免疫が誘導され腫瘍が完全退縮するモデルを用いて実験を実施した。(1)同種反応性活性化CD4陽性T細胞療法後の腫瘍を切除し、凍結標本を作成した後に共焦点レーザー顕微鏡を用いて本療法後の各種免疫担当細胞の腫瘍内局在をドナー・ホスト別に明らかにした。(2)本療法により抗腫瘍免疫が誘導される場合と、誘導されない同系活性化CD4陽性T細胞療法を用いた場合を比較し、TIMEを構成している様々な免疫細胞をそれぞれフローサイトメーターを用いてソーティングした。その後、同細胞からTotal RNAを抽出し、mRNAからcDNAを合成してRT-PCR法を用いて免疫反応関連の遺伝子発現解析を実施した。また、同種及びコントロール群である同系CD4陽性T細胞を腫瘍内投与した後に分離し、それぞれのCD4陽性T細胞からTotal RNAを抽出し、m RNAマイクロアレイにて遺伝子発現を網羅的に測定・解析した。その結果、本療法における抗腫瘍免疫誘導に関連する遺伝子群を抽出した。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J Exp Clin Cancer Res.
巻: 40 ページ: -
10.1186/s13046-021-02102-6